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『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』の作品情報
監督・脚本 | 監督:アン・リー |
ジャンル | アドベンチャー・冒険、ファンタジー、ドラマ |
製作年 | 2012年 |
製作国 | アメリカ |
上映時間 | 2時間6分 |
補足情報 | 原題:Life of Pi |
『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』のあらすじ
あるカナダ人の小説家(レイフ・スポール)は、壮絶な経験をした話を聞くためにパイ・パテル(イルファン・カーン)の元に訪れていた。
パイの父親と母親は植物園と動物園を営んでいたが、補助金が打ち切られる可能性が出てきてしまい、そうなったらこれ以上園を続けることは難しいと判断し思い切って畳むことに。
さらに、新しい人生を始めるため一家でカナダに移住することになるが、そのとき乗っていた貨物船に激しい嵐が襲いかかる。
偶然デッキに出ていたパイは、乗組員に救命ボートに投げ込まれ、沈没する船を背になんとか一人生き残ることができた。
しかしこの救命ボートには、パイの他にも、シマウマ、オランウータン、ハイエナ、“リチャード・パーカー”という名前のベンガルトラが一緒に乗っていてーーー。
『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』のキャスト
- スラージ・シャルマ(パイ・パテル)
- ガウタム・ベルール(5歳のパイ・パテル)
- アユ・タンドン(11歳のパイ・パテル)
- イルファン・カーン(成人のパイ・パテル)
- アディル・フセイン(サントッシュ・パテル)
- タブー(ジータ・パテル)
- アヤーン・カーン(7歳のラヴィ・パテル)
- ジェラール・ドパルデュー(貨物船のコック)
- レイフ・スポール(カナダ人の小説家)
『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』の感想・評価
インド人の青年とベンガルトラたちの漂流記
インド人の青年が家族と一緒に船でカナダに向かう途中に船が沈没、自分一人だけ救難ボートにしがみつきなんとか生き残るが、ボートには輸送されていたベンガルトラや他の動物たちもいて、そんな彼らと一緒に227日間を海で過ごすファンタジー冒険映画。
とにかく動物や自然の色鮮やかな光景が印象的で、たびたび夢のような幻想的な映像美が映し出されるので、視覚的にとても楽しませてくれる作品。
それと、物語の主役の一人であるベンガルトラは本物がそこにいるような動きや自然が魅力的で、約86%がCGで作られているらしいんだけど、ずっと見てても「いまのCG技術ってすごいな~」って感想はまったく出てこなくて、むしろ「あれ、このトラってCG…だよね?」みたいな、こんな本物のような仕上がりにできるの!?って驚きが強かった。
ハリーポッターとかロード・オブ・ザ・リングみたいな魔法とかファンタジーの世界が舞台の映画を観ていると、いまのCG技術はすごいなーとか迫力ある映像だなーって思うことはたくさんあったけど、現実にいるかのようなリアルな質感をハッキリと感じられるのに、どこか繊細さがあって、物語よりもそっちにくぎ付けになってしまった。
物語は遭難している船の上でのやり取りがメインで、人が1人しかいないので会話や衝突もほとんどないのはちょっとだけ退屈だったけど、少年の演技やベンガルトラのCGでそれなりに楽しくみることができた。
ただ、自分の物語を聞きに訪ねて来たカナダ人の小説家に、大人になった少年が自分の壮絶な遭難経験を話すという構図だったんだけど、1時間くらいずっと遭難シーンが続いてたのはもったなかったという気がする。
遭難シーンでの出来事を少年のナレーションベースで話すのではなく、たまに現実のシーンに戻って大人になった少年の口から語り、それに対してカナダ人の小説家が疑問に思ったことをぶつけて、それに対してのアンサーをまた回想しながら語っていくみたいなやり取りが多めの方が見やすかったと思う。
それと、ラストシーンでいろいろと納得がいかない人もいるかと思いますし、僕もその一人でした。
映画を観終わった後にこの物語について調べてみると、さすがに実話をベースにした話ではなかったものの、おそらく1884年に起きた『ミニョネット号事件』というヨットが難破した事故から着想を得たものだと思います。
詳細は映画のネタバレにもなるので語れませんが、その事件では“リチャード・パーカー”という17歳の少年が出てきます。
この映画に出てくるベンガルトラの名前が“リチャード・パーカー”なのです。
この映画のラストシーンで語られること、この映画(と原作)が着想を得たであろう『ミニョネット号事件』、現実の17歳の少年と映画のベンガルトラの名前が同じ“リチャード・パーカー”。
とにかく、こ観終わった後にぜひ『ミニョネット号事件』について調べて欲しいです。
そうすると、この映画に隠された意図がわかってくるかと思います。