【感想・評価】映画『幸せなひとりぼっち』死ぬに死ねない頑固で偏屈なジジイの孤独と偏愛【★5.0】

【感想・評価】映画『幸せなひとりぼっち』死ぬに死ねない頑固で偏屈なジジイの孤独と偏愛【★5.0】

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『幸せなひとりぼっち』の作品情報

監督・脚本監督:ハンネス・ホルム
脚本:ハンネス・ホルム
ジャンルドラマ
製作年2015年
製作国スウェーデン
上映時間1時間56分
補足情報原題:En man som heter Ove
英題:A Man Called Ove

『幸せなひとりぼっち』のあらすじ

怒りっぽく秩序に厳しい頑固な中年男性・オーヴェ(ロルフ・ラッスゴード)は、1年前に愛する妻を失い悲しみに暮れていた。
そして今日、16歳から43年間、一生懸命務めてきた会社も解雇されてしまう。
愛する妻も仕事も失い、人生に希望が持てなくなったオーヴェがまさにいま命を絶とうとしていたその時、近所にパルヴァネ一家が引っ越してくる。
車通行禁止を無視して堂々と車を走らせてきたパルヴァネ一家に対し、オーヴェは叱責し罵声を浴びせる。
しかし、そんな彼に怖気づくことなく物を借りにきたり、子守をお願いしてくる彼らに対し、悪態をつきながらも少しずつ心を通わせていくーーー。

『幸せなひとりぼっち』のキャスト

  • ロルフ・ラッスゴード
  • バハー・パール
  • フィリップ・バーグ
  • イーダ・エングヴォル
  • トビアス・アルムボーグ
  • クラス・ウィルジャーガルド
  • カタリナ・ラーション
  • ボルイェ・ランドバーグ
  • ステファン・ゴディッケ
  • ユーハン・ヴィーデルベリ

『幸せなひとりぼっち』の感想・レビュー

ただのペンギン🐧の映画感想・レビュー&評価
総合評価
 (5)

死ぬに死ねない頑固で偏屈なジジイの孤独と偏愛


最初に感想を率直に言うと、久しぶりに最高の映画に出会えたと思えた映画だった。

序盤のオーヴェの印象は、頑固で偏屈で秩序やルールに極端に厳しく、ルールを守らない者には強い言葉で怒鳴りつけ、近所の一部からもヤバい認定されている、まさに“老害”といった様相のじじい。
お店で1つの花束を安く買おうとクーポン券を出すが、そのクーポンが2束買うと70スウェーデンクローネ(1本だけだとクーポンなしの50クローネ)になると言われると、「それなら1束だと35クローネだろ!消費者センターに報告する!責任者を呼べ!」というモンスタークレーマーっぷり。

ただ、その花束は亡くなった愛する妻のお墓にお供えするもので、お墓の前では「寂しいよ」という言葉をかける姿を見ると、「あれ、良い人なのか?」と思うが、偏屈じじいという印象は最後まで観てもそんなに大きくは変わらない。
しかし、映画を観ていくと、なぜオーヴェがこんな頑固になってしまったのかがわかり、偏屈な性格に加えて実は真面目で不器用なだけで根は良い人ということが徐々に明らかになっていく。

映画の構成は、オーヴェが自殺をしようとする→その前後に走馬灯のように過去の出来事を思い出す→偶然人に邪魔されたりトラブルで自殺が失敗する→愛する妻の墓に近況報告をする。といった流れになるのだが、その過程でシュールなギャグ、オーヴェと亡き妻・ソーニャとの心温まるラブロマンス、たまに胸が詰まるようなシリアスなシーンもあるため、いろんな面白さが何層にもなって最後までしっかりと楽しめる展開となっている。

さらには、引っ越してきた明るい隣人や、近所の優しい人たちとの交流を通してオーヴェがどんな人物なのかも、どんな魅力があるのかが徐々にはっきりしていくため、最後には誰もが“愛すべき頑固じじい”としてオーヴェを好きになること間違いない。

もう、映画の途中からジワジワと押し寄せてきた感情が、最後のラスト30分頃にはピークになり、あとはひたすらボロボロと涙を流すだけという感じで観終わった。

ひたすらに良い映画だった。記憶消してもう一回見てみたい。

余談で、原題の『En man som heter Ove』は、直訳で「オーヴェという男」。
まさに、“オーヴェという男”を知るための映画と言えるので、日本語題もこのままで良かったかなと思う。
「幸せなひとりぼっち」も素敵なタイトルだと思うんだけど、主人公のオーヴェは愛する妻を亡くしてからは幸せではなさそうだったから、微妙にズレてる気がするんだよな…。
いや、直訳意外だったらこれがベストか…というただの独り言でした。

この作品は、トム・ハンクス主演の「オットーという男」というリメイク版もあるので、そちらもいつか見てみたいなと思いました。

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