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【映画感想・レビュー】映画『ケイコ 目を澄ませて』実在した聴覚障害者のボクサーの自伝を映画化

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映画『ケイコ 目を澄ませて』の作品情報

監督・脚本監督:三宅唱
脚本:三宅唱、酒井雅秋
出演者岸井ゆきの
三浦誠己
松浦慎一郎
佐藤緋美(HIMI)
中原ナナ
足立智充
清水優
丈太郎
安光隆太郎
渡辺真起子
中村優子
中島ひろ子
仙道敦子
三浦友和
ジャンルドラマ
製作年2022年
製作国日本
上映時間時間分
補足情報

映画『ケイコ 目を澄ませて』のあらすじ・内容

生まれつきの聴覚障害で、両耳とも聞こえないケイコ(岸井ゆきの)は、下町の小さなボクシングジムでトレーニングをしながら、プロボクサーとしてリングに立ち続けていた。
自分の思いを伝えるのが苦手なケイコは、ジムの会長(三浦友和)宛てに、休会を申し出る手紙を書くが出せずにいた。
母親からは「いつまで続けるつもりなの?」と心配され、言葉にできない想いが心の中に溜まっていく。
そんなある日、ケイコが通っているボクシングジムが閉鎖されることを知るーーー。

映画『ケイコ 目を澄ませて』の感想・レビュー

ただのペンギン🐧の映画感想・レビュー&評価
総合評価
 (4)

実在した聴覚障害者のボクサーの自伝を映画化


小笠原恵子さんという耳が聞こえない元プロボクサーの方の自伝『負けないで!』が原案です。

この映画では音が重要な要素となっており、あらゆる場面で生活音や環境音が強調されていて、ちょっと耳障りなくらいです。
そんな視聴者が煩わしくなるような音も街の喧噪も主人公のケイコだけには聞こえていないので、あらゆる場面で、聴覚障害者のケイコとそれ以外の人たちとの間にある、“絶対に理解できない感覚の違い”を際立たせる仕組みになっているように感じます。

ケイコの仕事のペアの人が、電話対応をしないケイコを一瞬不思議がって「あっ、この人耳が聞こえないんだった」みたいな表情するところとか、その後にマスクしたまま話しかけるところとか、身体障害者手帳を提示された警察官が耳が聞こえない=耳が遠い人という感じの認識だったりがそうです。

特に、ケイコがカフェで友達と手話で話すシーンでは、それまであった手話の字幕がなくなるので視聴者は何を話しているのか全くわからなくなりますが、それこそが聴覚障害者たちとの違いなんだと痛感させられます。

BGMなどの映画音楽を一切排除することも、その違いを強調させる要素になっているように思えます。

こういったシーンを随所に散りばめることで、視聴者に対して主人公のケイコとの感覚の違いを際立たせながら、彼女の日常を淡々と、だけど丁寧に描いていく感じの映画になっています。

実話ベースなのでドラマチックな展開はありませんし、大きな盛り上がりも、わかりやすい起承転結もないので、こういう映画が苦手な人は退屈かもしれません。
そういう人は、映画というよりは1人の人間の人生を映したドキュメンタリー映画だと思って観ると楽しめると思います。

一見普通の内容の映画ですが、主演の岸井ゆきのさんを始めとした役者たちの好演、音のギミック、独特な映像の質感、全体の空気感により、現代の映画ではなかなか味わえないタイプの面白さだったり、昔の映画のような懐かしさとか日常に溶け込む感覚とかを味わえるのがこの映画の魅力かなと思いました。