【映画感想・レビュー】映画『それでも夜は明ける』奴隷として生き抜いた11年8カ月26日間の記録

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映画『それでも夜は明ける』の作品情報

監督・脚本監督:スティーヴ・マックィーン
脚本:ジョン・リドリー
出演者キウェテル・イジョフォー
マイケル・ファスベンダー
ベネディクト・カンバーバッチ
ポール・ダノ
ポール・ジアマッティ
ルピタ・ニョンゴ
サラ・ポールソン
ブラッド・ピット
アルフレ・ウッダード
ギャレット・ディラハント
スクート・マクネイリー
アデペロ・オデュイエ
マイケル・ケネス・ウィリアムズ
タラン・キラム
ビル・キャンプ
クリス・チョーク
ジャンルドラマ、歴史、伝記
製作年2013年
製作国アメリカ、イギリス
上映時間2時間14分
補足情報原題:12 Years a Slave

映画『それでも夜は明ける』のあらすじ・内容

舞台は1841年のニューヨーク、自由黒人のバイオリニスト・ソロモン・ノーサップ(キウェテル・イジョフォー)は、妻と2人の子供と幸せな日々を送っていたが、ある日突然誘拐され、奴隷にされてしまう。
奴隷となった彼に待ち受けていたのは、白人たちによる差別や暴力、そして人間としての尊厳を失った奴隷たちの姿だった。
ソロモンは愛する家族と再び会うため、身分を隠し、暴力に耐え、奴隷として白人たちに尽くしながら、夜が明けるのをひたすら待つーーー。

映画『それでも夜は明ける』の感想・レビュー・評価

ただのペンギン🐧の映画感想・レビュー&評価
総合評価
 (4)

奴隷として生き抜いた11年8カ月26日間の記録


実際に存在した自由黒人・ソロモン・ノーサップという人物が、突然誘拐され奴隷になってしまい、白人からの差別や暴力に耐えながら、必死に生き抜いた11年8カ月と26日間の記録。

いまでも、一部の人間には黒人差別の思想が残っていますが、黒人の奴隷制度が残っていたこの時代はそれとは比にならないくらいひどい差別思想が存在し、黒人奴隷たちにはまさに“人権”がなかった時代の話です。

家族や家、財産や職業もある人間が、いきなり誘拐されて奴隷にされてしまうという理不尽さ全開の序盤から始まり、頻繁に出てくるムチ打ちの描写はとても胸糞が悪いです。

主人公の首吊りのシーンは長回しという手法が使われていて、文字通り場面転換なく長い間首が吊られているシーンが流れているんですけど、そこでは縄が擦れる音、主人公の息遣い、伸ばした足が泥を踏む音が聞こえてくる非日常な世界が存在しています。

それに対し、その周りで普通に子供たちが遊んでたり、大人たちは洗濯したりくつろいでいたりするといった日常の世界が広がっていて、それが当たり前かのように誰も助けようとしないんですけど、きっと彼らにとってはそれは当たり前の世界で、そこで奴隷として使われる側と奴隷として使う側の人間の意識がハッキリと画面に映しだされていて、その対比がとても残酷でグロかったですね。

これら以外にも奴隷や差別、人間の汚いところや残酷さが鮮明に描かれていて、奴隷の存在やその歴史、彼らがどんな仕打ちを受けていたのかの極一部を知れたという意味でも良い映画だったなと思います。

残酷な世界が広がっているこの映画ですが、奴隷を使う白人側にも暴力を振るわない人たちがいること、奴隷制度に疑問を持つ白人もいるということは、数少ない救いでした。

補足で、1860年のアメリカ合衆国の国勢調査では、奴隷人口は400万人に達していたようです。
映画に出てきた奴隷はせいぜい30人くらいだったと思うので、なんかもう想像を絶する規模ですね・・・。