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『The NET 網に囚われた男』の作品情報
監督・脚本 | 監督:キム・ギドク 脚本:キム・ギドク |
ジャンル | サスペンス、ドラマ |
製作年 | 2016年 |
製作国 | 韓国 |
上映時間 | 1時間52分 |
補足情報 | 原題:그물 英題:The Net |
『The NET 網に囚われた男』のあらすじ
韓国の国境付近にある漁村で、家族3人と貧しいながら幸せに暮らす北朝鮮の漁師・ナム・チョル(リュ・スンボム)。
いつものようにモーターボートで漁へと向かうが、途中でエンジンに網が絡んでが壊れてしまい、そのまま韓国側へと流されてしまう。
一日でも早く家族の元へと戻ることを願うナム・チョルだったが、韓国警察からは偽装亡命(北朝鮮のスパイ)を疑われてしまい、過酷な拷問や韓国への亡命の強要に耐える日々が始まる・・・。
『The NET 網に囚われた男』のキャスト
- リュ・スンボム(ナム・チョル)
- イ・ウォングン(オ・ジヌ)
- キム・ヨンミン
- チェ・グィファ
- ソン・ミンソク
- イ・ウヌ(チョルの妻)
『The NET 網に囚われた男』の感想・評価
国家間の対立に翻弄された北朝鮮庶民
北朝鮮の漁師の男が漁業中にエンジンが故障してしまい、そのまま韓国側に流されたことでスパイを疑われ、韓国警察に拷問や自白の強要を迫られる話。
韓国と北朝鮮という国家間の対立に翻弄された普通の漁師の運命を描いた作品。
兵士の装備、栄えた街並み、ブランド物の服や機械製品、豪華な食事、ネクタイを首紐と呼ぶなど、ありとあらゆるところで北朝鮮と韓国の文明や資本の豊かさの差を描いていて、ここだけ見ると「韓国は北朝鮮よりすごい!」言いたそうに思える。
だけど、資本主義で豊かで自由な国と思われがちな韓国では、道端には食べかけのご飯が置いてあったり、まだ使えそうなパソコンが捨てられていたり、家族思いの優しい女性が風俗店で働いてたり、スパイ容疑の男を自殺するまで追い詰める韓国警察がいたりと、「韓国という国は物や人を大事にしない国なんじゃない?」と思わせる描写がたくさんある。
そして、ナム・チョルをスパイかどうか調べる韓国警察は、もし彼がスパイじゃないのなら、独裁国家の犠牲者である北朝鮮市民なので救うために韓国に亡命させようとしてくる。
それらのシーンを、反資本主義(社会主義)の国・北朝鮮出身のナム・チョルの視点から描くことで、「あなたたちが素晴らしいと信じてる国は、実際はどうですか?本当に幸せなんですか?」と韓国を批判しているように見える。
一方で北朝鮮はどうかと言うと、ナム・チョルは祖国を大事にし、家族を大事にし、自分の国の情報を売らず、拷問にも必死に耐えて、なんとか祖国・北朝鮮に戻ってきたと思えば、脱北や韓国側に寝返ったスパイと疑われ、韓国警察がやったような仕打ちを受けるハメに。
明確な描写はなかったけれど、おそらくナム・チョルの妻も取り調べを受けていたっぽい感じがする。
そこに、あなたたち北朝鮮は韓国や資本主義を批判しているけど、やっていることは大して変わらないよ?という北朝鮮批判のメッセージが込められている気がした。
なので、どっちかの国だけを持ち上げるとか、どっちかの国を批判するとかじゃなくて、両方の国をそれぞれの国の視点から批判している社会派映画って感じの作品でした。
余談だけど、この映画を見て驚いたのが、北朝鮮のテレビ放送は韓国側も見れて、韓国のテレビ放送を北朝鮮側も見れるということ。
おそらく全部の局の放送が見れるわけではないだろうし、想像だと日本で言うNHKのような局だけお互いに見れるのかと思うけど、それでもお互いの情報を知ることができることには驚いた。
調べてみたら韓国が北朝鮮に向かってテレビのアナログ送信を行っているみたい。
まぁ、「韓国はこんなに素晴らしいところですよ!」というのを北朝鮮の市民たちに教えようとしてるんだろうね。