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『17歳の瞳に映る世界』の作品情報
監督 | エリザ・ヒットマン |
ジャンル | ドラマ |
製作年 | 2020年 |
製作国 | アメリカ、イギリス |
上映時間 | 1時間41分 |
補足情報 | 原題:Never Rarely Sometimes Always |
『17歳の瞳に映る世界』のあらすじ
アメリカ合衆国北東部・ペンシルベニア州に住むオータム(シドニー・フラニガン)は、友達が少なく、歌うことが好きな17歳の高校生。
ある日、お腹の膨らみが気になって病院で検査したところ、予期せず妊娠していたことが発覚。
だが、ペンシルベニア州では未成年者は両親の同意がなければ中絶手術を受けることができないことを知る。
妊娠のことを絶対に両親に知られたくないオータムは、同じスーパーでアルバイトをしていて従妹であり親友でもあるスカイラー(タリア・ライダー)と一緒に、中絶に両親の同意が不要なニューヨークへと向かうが・・・。
『17歳の瞳に映る世界』のキャスト
- シドニー・フラニガン
- タリア・ライダー
- セオドア・ペレリン
- ライアン・エッゴール
- ドシャロン・ヴァン・エッテン
- ドリュー・セルツァー
『17歳の瞳に映る世界』の感想・評価
妊娠中絶のため2人の女の子がニューヨークへと向かう
妊娠中絶という映画としてはあまり扱われないテーマであり、デリケートな問題でもあり、だが目を背けてはいけない問題を扱った今作は、妊娠中絶という過程を変に隠すことなく、1人の若い女性の妊娠というものを丁寧に慎重に描いていた。
映画の作りとしては特に大きい山場はない。
妊娠がバレて両親と口論になることもなければ、妊娠させた男と喧嘩するわけでもない。
同行した従妹であり親友でもあるスカイラーも体調の心配はするが、深いことは聞かない。
妊娠したオータム自身も口数は少ないし、感情が表に出ることもほとんどない。
映像の情報だけではわかることが少なく、静かで淡々としているが、なぜか彼女たちの動向に夢中になってしまう。
そんな作りになっている。
もしかしたら、妊娠するまでの過程(男女間でどういうトラブルなどがあったのか)とか、もう少しオータムの心情がわかるようにして欲しいという気持ちを持つ人もいると思うが、そういう事情を知りたいというのは野暮な感情だろう。
実際にオータムみたいな女の子が目の前に現れたとして、そういった話にくい事情を聞けるだろうか?
自分は絶対に聞けない、だけど心配はするし出来る限りの力にはなりたいと思う。
きっとそれは従妹のスカイラーも同じ感情だろうし、カウンセラーの人も何があったのか無理に聞き出そうとしないことから、彼女たちの振る舞いや映画全体の構成を通して、オータムへの正しい接し方を教えてくれているような気がした。
オータムは何かしてもらっても感謝もしないし、ありがとうも言わない。
せっかく長旅についてきてくれて荷物も持ってくれるスカイラーには冷たい言葉を吐くこともあったし、彼女がオータムを元気づけようと簡単な手品を披露しても無反応。
「大変なのはわかるけど、ちょっとは周りに感謝したり申し訳なさそうにしなよ…」と思う瞬間は何度かあった
だが、中絶手術が終わってからの休憩室で看護師(?)から水を受け取った際、それまではおそらく一切ありがとうなどの感謝の言葉を誰にも何も言っていなかったはずのオータムが、初めて「ありがとう」と言った。
その瞬間「ああ、彼女はすごく不安だったんだな」と感じた。
映画を通しても不安な様子はいまいち伝わってこないし、何を考えてるわからなかったが、その瞬間にすごく不安だったんだなとハッと気づかされた。
自分の心の狭さ気づかされた映画でもあった。
ちなみに原題タイトルの『Never Rarely Sometimes Always』は、映画終盤の中絶手術前にカウンセラーがクロエに踏み込んだ質問をする際に出てくる言葉たちです。
質問に対する答えとして「Never(一度もない)、Rarely(めったにない)、Sometimes(時々)、Always(いつも)」の4択で答えてとカウンセラーは言います。
それまでの質問では自分の言葉で答えてもらったり、Yes or Noの2択で答えられる簡単な質問が多かったのですが、この時は4択で答えてもらってます。
4択の理由はおそらく、「Yes or Noの2択で答えられるような話じゃないこと」と「自分の言葉で話しづらい話題」を簡単なワードで答えてもらうことで、相談者の心理的負担を下げる目的があるんじゃないのかな?
どの年齢層に見てもらいたいかと言えば、彼女くらいの年代の女性もそうだし、男性にも見てもらいたい作品。
あなたの無責任な行動で、誰にも相談できず、一人苦しむ女性が生まれてしまうんだよと…。
最後に一言、従妹のスカイラーが本当に聖人すぎる…。