【映画感想・レビュー】映画『PLAN75』近い将来起こりうる日本の高齢化社会の結末【安楽死】

この記事には広告を含む場合があります。

記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

映画『PLAN75』の作品情報

監督・脚本監督:早川千絵
脚本:早川千絵
出演者倍賞千恵子
磯村勇斗
たかお鷹
河合優実
ステファニー・アリアン
大方斐紗子
串田和美
ジャンルドラマ
製作年2022年
製作国日本
上映時間1時間52分
補足情報

映画『PLAN75』のあらすじ・内容

日本では問題となった高齢化社会の対策として、満75歳以上の高齢者に生死を選択させる権利、通称<プラン 75>という制度が誕生していた。
78歳の角谷ミチ(倍賞千恵子)は、夫に先立たれ、高齢を理由にホテルの客室清掃員の仕事を突然解雇され、住んでいる賃貸からも追い出されそうになったことで<プラン 75>の申請を検討し始める。
市役所の<プラン 75>の申請窓口で働くヒロム(磯村勇斗)は、申請者として叔父が来たこと、そして、この制度の闇を知ってしまったことで制度の存在に疑問を抱いていく。
ミチが最後の日を迎えるまでのサポートを担当することになったコールセンタースタッフの瑶子(河合優実)もまた、ミチからの頼みを受けて外で直接会ったことがきっかけで、制度に疑問を持つようになっていた。
<プラン75>に翻弄される中で、それぞれが導き出した結末とはーーー。

映画『PLAN75』の感想・レビュー・評価

ただのペンギン🐧の映画感想・レビュー&評価
総合評価
 (4)

近い将来起こりうる日本の高齢化社会の結末


日本の高齢化社会問題の対策として政府から打ち出された「PLAN75」という制度と、申請した高齢者、申請を受け付けた市役所の職員、申請者の身の上話を聞いたりしてサポートするコールセンターの人たちを中心に話が展開する。

設定は斬新で良かったし、役者の演技や演出なども良かったんだけど、ストーリーが中途半端で、もうちょっと脚本頑張れなかったのかな?という印象。オチも弱かった。自分の理解力不足が原因かもしれないが、何を伝えたかったのかもわからなかった。
あとは、全体的に登場人物たちの行動動機も疑問だった。

とりあえず、疑問に思った点をいくつか書くので、ネタバレ注意です。

・そもそもPLAN75が出来た経緯が謎だった。
高齢者が襲撃される事件が全国で相次いだのと、深刻さを増す高齢化問題への抜本的な対策を政府を求める国民の声が高まったことが原因っぽかったけど、制度ができた理由としてはちょっと弱い気がする。
もうちょっと制度ができるまでの過程が欲しかった。
例えば、高齢者が日本人口の50%を超えて~みたいに具体的な数字だったり、高齢者が増えたことに対する影響がどれくらいあったのかなどの説明が欲しかった。

・コールセンターの子がなぜ角谷ミチに会いに行ったのか?
自分のおばあちゃんと年が近かったとか、声が似ていたとか、もしくはまだ入ったばかりで申請者とサポーターが会うことがどれくらい危ないかわからなかったからとか、わざわざ会いに行った理由がわからなくて、強引に展開に抑揚を付けたかっただけなのかな?という感じがした。

・市役所職員のむちゃくちゃな行動の意味
最後、ある理由があって安楽死施設?から遺体を運び出そうとするけど、その前にそもそも制度自体に疑問を持たなかったのか?という感じ。

・外国人の出稼ぎ労働者の存在が無理矢理
外国人労働者に頼らざるを得ないほど人手が不足しているということを伝えたかったのか、最後の展開を作るために特に意味なく登場させたようにも思える。

ざっと適当に書いたけど、観ていて「???」と思うシーンが多かったから内容の評価は★3.5くらいだけど、主役の倍賞千恵子を始めとした俳優たちの演技力が良かったので★4.0の評価という感じです。

PLAN75という制度の発想は良かったけど、奇抜なアイディアに甘えて強引な展開が多かったように感じた。
現代でも安楽死・尊厳死というものは存在するけど、あくまで厳しい条件をクリアしたのみに対して与えられる権利だから、明らかに健康で大きな持病もなさそうな人たちがPLAN75の対象と言う時点で制度が破綻しているように見えるし。

けど、こういうテーマを扱うのは難しいんだろうな・・・。