【映画感想・レビュー】映画『あなたの名前を呼べたなら』インドの御曹司と雇われメイドの報われぬ恋

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映画『あなたの名前を呼べたなら』の作品情報

監督・脚本監督:ロヘナ・ゲラ
脚本:ロヘナ・ゲラ
出演者ティロタマ・ショーム
ヴィヴェーク・ゴーンバル
ギータンジャリ・クルカルニー
ジャンルドラマ、恋愛
製作年2018年
製作国フランス、インド
上映時間1時間39分
補足情報原題:Sir

映画『あなたの名前を呼べたなら』のあらすじ・内容

地方の農村出身のラトナ(ティロタマ・ショーム)は、妹の学費を稼ぐために住み込みでメイドとして働いていた。
ラトナの雇い主で建設会社の御曹司・アシュヴィン(ヴィヴェーク・ゴーンバル)は、結婚間近で婚約者の浮気が発覚したため、婚約は破談となってしまう。
ラトナは若くして夫を亡くした経験から、アシュヴィンの痛みに寄り添うために身の上話をしたことがきっかけで、2人の距離が徐々に縮まっていくが・・・。

映画『あなたの名前を呼べたなら』の感想・レビュー

ただのペンギン🐧の映画感想・レビュー&評価
総合評価
 (4.5)

インドの御曹司と雇われメイドの報われぬ恋


インドの御曹司と彼に雇われているメイドという、決して交わらない世界で生きている二人が、同じ挫折を経験したことで徐々に仲を深めていく…みたいな話。
インド映画はあまりみないし見てもコメディ系だったので、恋愛を描いたインド映画を見るのは初めてだったがすごく面白かった。

内容をざっくり言えば、“身分違いの恋愛”を描いた作品なのだが、日本では全く想像できないようなカースト制度や、身分・文化の違いによる差別を、2人の報われない愛を通して知れるのが斬新な作りだったと思う。

育った土地を離れてアメリカで様々な仕事をした経験があったり、身なりも都会的で、自由に生きている感じの御曹司・アシュヴィン。
一方で、未亡人で村には居場所がなくて、ファッションデザイナーになりたいという夢はあるものの、娘の学費のために働いたお金を使っているのでファッションを学ぶためのお金もなく、不自由で束縛された人生を歩んでいるラトナ。

このわかりやすい対比から始まって、アシュヴィンと交流するのは彼と同じような職業や身なりの人間で、ラトナが交流するのは彼女と同じような職業や身なりの人間だったり、雇い主が帰ってきたらすぐに飲み物を出したり、与えられた部屋は刑務所みたいなサイズだったり、立食パーティーで楽しむ人たちの裏で、ラトナたちメイドはキッチンで床に座ってご飯を食べたり、映像のところどころに、この2人には決して交わることがない大きな壁があることを常に思い知らされることになる。

他にも2人の身分格差やラトナが常に晒されている差別を痛感する瞬間がたくさんあって、2人の恋愛を通して、そういったインドの差別の現実が強く感じられるような作りがとても良かった。

“報われぬ恋”と書いたけど、“許されざる恋”の方がニュアンスが近いのかな?それくらい、2人が愛し合ってるからだけではどうにもならないくらいの大きな問題が、インドには存在していることがこの映画から伝わってくる。

ストーリー以外の話だと、インドの街並みや色彩が美しいのも、この映画の魅力の一つかな。

普通の恋愛映画に飽きた人や、インドについての教養を身に付けたい人におすすめの映画です。