【感想・評価】映画『13人の命』タイで起きたタムルアン洞窟の遭難事故を映像化【★4.5】

【感想・評価】映画『13人の命』タイで起きたタムルアン洞窟の遭難事故を映像化【★4.5】

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『13人の命』の作品情報

監督・脚本監督:ロン・ハワード
脚本:ウィリアム・ニコルソン
ジャンルドラマ、伝記
製作年2022年
製作国イギリス
上映時間2時間27分
補足情報原題:Thirteen Lives

『13人の命』のあらすじ

2018年6月23日タイ北部、地元の少年サッカーチームと若いコーチは、練習終わりにタムルアン洞窟へと探検に向かう。
その日の夜、予定されていた食事会の時間になっても子供たちが現れなかったので、家族たちは洞窟まで車に迎えに行くことに。
しかし、そこに子供たちの姿はなく、大雨の影響で洞窟は冠水し、救助隊を待っている状況だった。
それから12時間以上経った後、ようやくタイの海軍特殊部隊が潜水救助を試みるが、激しい水の流れや鉄砲水のせいで捜索は難航してしまう。
各国から救助隊やボランティアが大勢駆け付ける中、洞窟ダイビングの専門家でイギリス人のリック(ヴィゴ・モーテンセン)とジョン(コリン・ファレル)にも救助の要請が来るがーーー。

『13人の命』のキャスト

  • トム・ベイトマン
  • コリン・ファレル
  • ヴィゴ・モーテンセン
  • ジョエル・エドガートン
  • ルイス・フィッツジェラルド
  • ヴィタヤ・パンスリンガム

『13人の命』の感想・評価

ただのペンギン🐧の映画感想・レビュー&評価
総合評価
 (4.5)

タイで起きたタムルアン洞窟の遭難事故を映像化


2018年6月23日にタイで起きた、少年サッカーチーム12人とコーチ1人の計13人がタムルアン洞窟に閉じ込められた遭難事故の決死の救出劇を映画化したもの。

当時のニュースはリアルタイムで観ていたが、なんとなくタイで少年たちが洞窟に閉じ込められる事故があり、無事救出されたということしか覚えていなかった。
この映画を観ることで、少年たちを助けようとどれだけ多くの国から人々が駆け付けたのか、どれだけ多くの救助隊やボランティアや住民たちが奮闘していたのか、どれだけ過酷な状況で救出作戦が行われていたことが知れて良かった。

結果的に子供たちやコーチが全員無事だったのは当時のニュースから知ってはいたが、それでも「子供たちは大丈夫なのか?」と思わされるくらいの説得力ある緊張感が常に漂う演出がすごかった。
いつまでも大量に降り続く雨、一向に状況が進展しないまま過ぎていく時間、一人のダイバーの死により捜索の過酷さがより伝わってくる。

子供たちを無事に見つけたときは一瞬の安堵は訪れるものの、イギリス人のこの道30年以上のベテランダイバーでさえ、到達するのに約6時間かかったことを知ったとき、「どうやって助けるんだよ…」と思ってしまうほどの絶望感だった。
実際にベテランダイバーもそれはわかっていたみたいで、救出は不可能だと言い切るシーンと生きてるとは予想できなかったと落胆するシーンは衝撃的。

とても不謹慎なことを言うが、もしすでに亡くなっていたらせめて遺体だけでも運び出せれば、時間を掛ければ家族たちも納得するかもしれない。
しかし、すでに全員が生きていて無事なことがわかったことで、絶望的な状況から希望が生まれてしまった。
そんな中で「救出は絶対に無理だから全員を見殺しにするしかない」なんて言ったらどうなるだろうか…という、経験した本人にしかわからない苦悩が伝わってきてこっちまで心臓が苦しくなってくる。

その後も、食事を届けたり、洞窟内の水を排出したり、これ以上洞窟に水が入らないように山で作業したりして時間を稼ぎながらなんとか解決策を探るも方法は見つからず、例年より早い雨季が迫って来る絶望感が襲ってくる。

最後は子供たちを麻酔で眠らせて荷物で運ぶという前代未聞の作戦を実行するが、これが映画ではなくリアルだと言うことにとても驚いた。

とにかく、最初から最後まで緊張感も臨場感もすごくて、洞窟内での水中映像も迫力があって、肉体も精神も限界を迎えている人たちが、子供たちを救いたいという一心で気力を絞って自然に立ち向かう勇敢さが素晴らしい映画だった。

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