【映画感想・レビュー】映画『予告犯』社会の歯車から外れた者達からの切ないメッセージ

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映画『予告犯』の作品情報

監督中村義洋
出演者生田斗真
戸田恵梨香
鈴木亮平
濱田岳
荒川良々
宅間孝行
坂口健太郎
窪田正孝
小松菜奈
福山康平
田中圭
滝藤賢一
本田博太郎
小日向文世
ジャンルサスペンス、ドラマ
製作年2015年
製作国日本
上映時間1時間59分
補足情報原作:漫画『予告犯』

映画『予告犯』のあらすじ・内容

ある日、Tシャツ姿に新聞紙で作られた頭巾を被った謎の男(生田斗真)が突如ネット上に現れた。
彼は自らを“シンブンシ”と名乗り、「明日の予告を教えてやる―。」と告げ、集団食中毒事件を起こし、多数の重症者を出しながらも原因を法律の不備のせいだと開き直った食品加工会社に対し、「食い物の扱いも知らないこいつらに、俺がきっちり火を通してやる」という予告を行う。
警視庁サイバー犯罪対策課の捜査官・吉野絵里香(戸田恵梨香)は、謎の予告犯=シンブンシの捜査に乗り出したのも束の間、食品加工会社の工場が放火される事件が発生。
予告動画の内容が現実のものとなり、その後も社会的に裁かれない不届き者たちに対して、制裁の予告動画とその内容が実行されるという事件が多発する。
ネット上では彼を支持する者たちがだんだんと増え続け、彼に感化された模倣犯も出現し、さらには政治家殺害予告まで行われたことで、“シンブンシ事件”は社会現象へと発展していく。
日本を震撼させた“シンブンシ”による制裁は何のために行われているのか?テロリズムの真の目的とはーーー?

映画『予告犯』の感想・レビュー・評価

ただのペンギン🐧の映画感想・レビュー&評価
総合評価
 (4)

社会の歯車から外れた者達からの切ないメッセージ


原作は漫画の『予告犯』(全3巻)で、漫画も読んだことがあったが、ほぼほぼ原作通りの内容。
漫画のいくつかの内容は省きつつも、映画的に楽しめるように若干アレンジが加わったことで上手に実写化された作品。

宣伝予告などの第一印象からは、猟奇的な犯人によるサスペンス映画のように見えるかもしれないが、実際はヒューマンドラマに近い。

内容は社会派な一面があって、何かのきっかけで社会の歯車から外れた者たちが、つらく苦しんでいる人たちの鬱積させている感情を救い、声なき声を代弁するかのように社会の理不尽などに対して制裁を加えていく話。

彼らがやったことは肯定されるべきではないのだが、その行動や上げられた声は決して無視してはならず、改めて一人一人が社会的弱者やその弱者を叩く社会について考えるきっかけになるのではないだろうか。

あとは、ゲイツ(生田斗真)のセリフで「頑張れるだけしあわせだったんですよ、あなたは」という言葉が印象的だった。
きっとこの言葉だけ聞くと、成功している人や幸せな人からすると「自分の努力不足や能力不足を社会のせいにするなよ」って思うんだろうけど、“頑張ってもどうにもならない状況にいる”という人たちもいるわけで。
なんでも他責思考はもちろん良くないんだけど、過度な自己責任論は頑張ってもどうにもならない人たちをさらに追い詰めるんだよなと感じた。

ちょっと気になった話をすると、戸田恵梨香が演じる捜査官・吉野絵里香のキャラに変なアレンジが加わっていたせいで、無駄に長いシーン(生田斗真との謎の追いかけっこ)だったり、正論だけで相手の気持ちをまったく考えないヒステリー女に見えるときがあって、そこはちょっとこの映画においてノイズっぽい感じがした。
演技が悪いというよりは、映画的にわかりやすくヒール役のキャラ付けをしたせいなのかもしれないが、ちょっと浮いてる感は否めなかった。

あとは、生田斗真がイケメンすぎて「こんなイケメンが、あんなヒドイ扱い受けるのか・・・?」と若干感情移入しづらかった(もちろんイケメンだから何でも許されるというわけではないんだけど)。
この考えも“無意識の差別”だなと感じる。

社会のこととか昔からあるSNSの炎上とか、色々と考えさせられる映画だった。