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『ケープタウン』の作品情報
監督・脚本 | 監督:ジェローム・サル 脚本:ジュリアン・ラプノー、ジェローム・サル |
ジャンル | サスペンス、ミステリー |
製作年 | 2013年 |
製作国 | フランス・南アフリカ |
上映時間 | 1時間47分 |
補足情報 | 原題:ZULU |
『ケープタウン』のあらすじ
南アフリカ・ケープタウンで元ラグビー選手の娘の撲殺遺体が見つかった。
その事件を捜査するのは、殺人課刑事のアリ(フォレスト・ウィテカー)とブライアン(オーランド・ブルーム)のコンビ。
少女の血液からある薬物の成分が検出されるが、その薬物は、近頃頻発していた「児童連続失踪事件」の現場によく残されている物と一致していた。
さらに、少女が殺される前に薬物の売人と会っていたことが判明する。
アリとブライアントとアリの同僚刑事ダン(コンラッド・ケンプ)の3人は、その売人を探しに密売の多発地域へと向かうのだが・・・。
『ケープタウン』のキャスト
- オーランド・ブルーム(ブライアン・エプキン)
- フォレスト・ウィテカー(アリ・ソケーラ)
- コンラッド・ケンプ(ダン・フレッチャー)
『ケープタウン』の感想・評価
南アフリカにいまも根強く残る闇
2人の刑事が南アフリカ・ケープタウンで起こった事件を捜査していくうちに、この街にいまも根強く残る闇に触れていく話。
穏やかで重厚感ある雰囲気のフォレスト・ウィテカーと、酒や女に溺れてやさぐれた雰囲気のオーランド・ブルームの異色なバディは魅力的。
物語はタイヤネックレス(1980年代半ばの南アフリカで行われていた拷問・処刑方法)で焼かれる黒人男性、その男性の子供が走って逃げだすシーンから始まり、アパルトヘイト(人種隔離政策)が行われていた昔の南アフリカの凄惨さを一瞬で描く。
そこから30年ちょっと経った南アフリカ・ケープタウンへと舞台が移り変わり、「あの時から南アフリカはどうなったか?」という話になるのだが、女性の撲殺遺体が見つかったり、子供の連続誘拐事件が起きていたり、新しい覚醒剤が出回っていたりと、一向に治安が良くなっている気配が感じられない。
さらに、撲殺遺体の女性と関わりのあったヤクの売人を3人の刑事が探しに行くのだが、1人の刑事が腕を切断され、首を切られ殉職してしまう。
ここまでに、ギャングが蔓延るケープタウンの治安の悪さ、暴力性、残虐性をたっぷり描くことで物語に一気に引き込まれる・・・のだけど、話が面白かったのはここら辺まで。
アパルトヘイトの遺恨がいまも残っているみたいな社会派映画か、ギャング多めのハードな映画かと思ったら、後半でなんかよくわからない要素がたくさん出てくるし、黒人差別の歴史もちょっとして要素としか取り入れられてないので、全体的に中途半端だった。
事件が次々と繋がっていきケープタウンの闇が見えてくる演出や、主演2人の演技が良かったのに、どうしてこうなっちゃったんだという感じ。
そもそも、ビーチが密売の多発地域ってわかってるのに、明らかに怪しいやつらを前に銃に手を掛けずに職質するのがあまりにも無防備すぎる。
新人じゃないんだからもう少し警戒しなよ。
それで同僚が1人死んでその奥さんからは葬式に出ないように言われるシーンは、本来ならもっと暗く重い雰囲気になるはずなのに、「全員マヌケすぎるだろ・・・」と思ってしまい、薄っぺらい雰囲気に見えてしまった。
その後、パソコン担当の事務らしき女性がサーバにハッキングして情報を手にするスーパープレイをかましたり、オーランド・ブルームの家族との絡みが薄いくせに多かったり、黒人だけを殺すことができる化学兵器とかいうエンタメ系スパイ映画とかバイオハザードにあったような設定が出てきたり、フォレスト・ウィテカーの母親が息子のためにと単独行動してひどい目に合ったりと、最初は暗い社会派サスペンス映画っぽい雰囲気だったのに、急に話が取っ散らかってよくわかんなかった。
最後の、夜から朝方までフォレスト・ウィテカーが組織のボスを砂漠中追い回すシーンもなんかシュールで受け付けられなかった。
前半と後半で、「途中で脚本変わった」と思うくらい雰囲気が違っていたような気がする。
アパルトヘイト時代の闇がいまも根強く残る南アフリカを舞台に、異色の刑事コンビがその闇を暴いていく硬派なサスペンスアクション映画だったらもっと面白かっただろうなと思う。
前半はちゃんと面白かった分、ちょっと残念だった。