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こんにちは、ルトラ(@lutraxlutra)です。
今回は、Create Media (編集)さんの『日本一醜い親への手紙 そんな親なら捨てちゃえば?』をご紹介したいと思います。
「そんな親なら捨てちゃえば?」というさっぱりしたタイトルに聞こえますが、毒親育ちの実体験を赤裸々に綴った内容で、なかなかエグイです。
- 毒親を殺したいくらい恨んで憎んでいる人
- 前を向いて歩きだそうとしている人
- 手紙として感情を吐き出すことで親と決別しようとしている人
本当に様々な人が、毒親についての思いを必死に書き出したという感じがします。
全ての毒親育ちに読んでもらいたい本であり、全ての毒親に読んで欲しい本です。
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書籍の説明
著者について
■Create Media(編著者)
Create Media(クリエイトメディア)は、フリーライター今一生(こんいっしょう)が編集者として活動する際の名称。今一生は1965年、群馬県に生まれる。千葉県立木更津高校卒、早稲田大学第一文学部除籍。1997年、親から虐待された人たちから公募した手紙集『日本一醜い親への手紙』の三部作をCreate Mediaとして企画・編集。「アダルトチルドレン」ブームを牽引する。〔公式サイト〕www.createmedia.co.jp Create Mediaの編著書には『子どもたちの3.11』(学事出版)、『パパとママからのラブレター』(ノンカフェブックス)、今一生の著書には、『社会起業家に学べ! 』(アスキー新書)、『よのなかを変える技術 14歳からのソーシャルデザイン入門』(河出書房新社)、『プライドワーク 自分をつくる働き方』(春秋社)、『猫とビートルズ』(雨樹一期・写真、金曜日)などがある。■信田 さよ子(解説)
臨床心理士、原宿カウンセリングセンター所長。1946年、岐阜県に生まれる。駒木野病院勤務、嗜癖問題臨床研究所付属原宿相談室室長を経て、1995年原宿カウンセリングセンターを設立。アルコール依存症、摂食障害、ひきこもり、ドメスティック・バイオレンス、児童虐待に悩む人たちやその家族のカウンセリングを行っている。■東 小雪(解説)
元タカラジェンヌ、LGBTアクティビスト、株式会社トロワ・クルール取締役。1985年、石川県金沢市に生まれる。実父からの性虐待を告白した著者『なかったことにしたくない 実父から性虐待を受けた私の告白』(講談社)を2014年に上梓。LGBTや性虐待をテーマにした講演・支援活動を展開している。『日本一醜い親への手紙 そんな親なら捨てちゃえば?』 (2019年) 著者についてより
書籍の内容・あらすじ
「東大出のクズ」
「死んでも許さない」
「墓参りには行かないから」
「じゃあね、お母さん」
「幸せになってみせます」親からの虐待を生き延びたサバイバーたちが書いた訣別と希望と勇気の100通。
Amazon 商品の説明 内容紹介より
書籍の目次
- はじめに不当ながまんを強いられる子どもたち
- 凡例
Ⅰ 気づく
- 私にも意志がある
- いけにえ
- プレゼントはゴミ箱に
- 見えないんだよ
- 衣食住の権力者
- 殺し合う両親
- 笑顔を求めないで
- お互いに救われない
- あなたのねらい通りに
- 罪に問われない殺人者
- あんた、死ねよ
- あんたたちとは違う
- 多額の死亡保険
- 不倫の代償
- 父も母も「責める人」
- 本が私を助けてくれた
- お父さんに馬乗り
- パパのいやし
- 援助交際という居場所
- いらないなら捨てて
- 金の亡者の道具
- きょうだい児
- 稼げば生きていける
Ⅱ 戦う
- できるなら惨殺したい
- サンタさんへのお願い
- 殺さない理由
- 毒のゴミ箱
- 見捨てるのは怖い
- 腐った食べ物
- いつも私の足かせ
- モニターに映る母
- 交代人格の家族
- もう屈しない
- 「とうに時効でしょ」
- 中卒のシングルマザー
- 自傷と共に笑ったふり
- お母さんの虚像
- 誰も助けてくれない
- にせものの許し
- 生き地獄
- あなたの拳
- どなり声とさとす声
- とけた謎
- うそつきになる
- 謝って済む話じゃない
- まやかしの絆
- 一生呪う
- 生き抜いてみせます
- 「子どもの言うこと」
- 殺されたあの子
- 「俺が法だ」
Ⅲ 出会う
- お母さんは知らない
- 思い出すと苦しい
- 「おまえは悪魔だ」
- 死んだら負け
- お父さんの殺し方
- 貴殿が反面教師
- 守ってくれた恩人
- 子どもの人権ノート
- 権威ある男が怖い
- お母さんは明るいのに
- 他人のつもりで
- タダ働き家来
- 自己否定はやめました
- 人生泥棒
- そっとしておいて
- 私を助けてくれたのは
- 経済的虐待
- うそつきになっていい
- すべてがクソなわけじゃない
- 私は負けません
- 会えば体調が悪くなる
- 声を上げる勇気
Ⅳ 変わる
- あなたを捨てます
- 私の親は仏様
- 気づくのが遅すぎた
- 殴られても蹴られても
- ねじ曲げられた私
- 表面上いい関係
- 早く死ねばいいのに
- 東大出のクズ
- 今さら信じられない
- 娘の幸福を許せない母
- 世間では「先生さま」
- あなたが弱者になる日
- 戦って勝ち取ったもの
- 記憶から消えて
- 「とにかく生きなさい」
- あんたは変わらない
- 私には牢獄
- クソ女
- 忘れてもいいから
- 他人の方が親身
- 母がやさしくなった理由
- 私は壊れない
- 人生はわからない
- 愛されるために家を出る
- 復讐する価値もない
- どこかすがすがしい
- 生きるための祈り
選者解説
- 壮絶な痛みと苦しみを経て 東小雪
- 「ありのままの姿」をさらす親たち 信田さよ子
- おわりに 勇気ある行動によって
- 謝辞本書の出版を支援してくださったみなさんへ
読了時間の目安
ページ数は約257ページで、読了時間の目安は約3時間です。
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書籍感想・ネタバレ・評価
上手く言えないけど、毒親が憎くてしかたがない。
という人の心のモヤモヤを、上手に言語化してくれたなという印象を受けました。
親に伝えても伝わらない、どうせ理解しないとわかっている。
だからこそ、「手紙という形で自分の受けた被害をただ伝える」という方法を毒親育ちは選んだ。
そんな毒親育ちの決意の100通です。
いくつかのエピソードの文章を引用して、自分の思ったままのことを書いていきます。
エピソード39 「にせものの許し」
あなた方は、私を苦しめたことに気にも病んでいない。
そんなあなた方を許すのは、苦しんできた幼いころの私に対する裏切りです。
エピソード39 「にせものの許し」
毒親育ちの悩みでよくあることが
「毒親は過去のことを何とも思っていないということ」
そして、「そんな毒親を許すべきか、許さないべきか」という問題。
“毒親のことは許せないが、そんな許せない自分に嫌気が差す”
と思う毒親育ちの方も多いのではないでしょうか。
僕の場合は、“毒親は許さなくてもいい、ただ自分のためにも忘れた方がいい”という考え方でした。
ただ、このエピソードを書いた方は、“毒親を許すことは、苦しんできた幼いころの自分に対する裏切り”と書かれています。
これは、「自分の感情を押し殺してまで毒親を許すべきではない」という意味に感じました。
自分だけは常に、自分の味方でいたいですね
エピソード44 うそつきになる
お父さん、お母さん。「育ててくれた親に感謝してる」って言うと、人が喜ぶんだよ。
「親を憎んでる」って言うと、白い目で見られる。
だから僕はうそつきになることを選んだ。
けど、そろそろ、正直者にならないと、僕が僕である意味がない。
エピソード44 うそつきになる
この言葉は、社会全体に蔓延する
- 「親に感謝するべき」
- 「親は敬うべき」
- 「親を嫌いと言ってはいけない」
といった風潮に悩み、自分を殺して“うそつき”になることを選んだ。
だけど、そんな自分と決別するために“自分に正直になる”という強い意志が込められています。
親を嫌ったり、自分の親を毒親と言うと、今でも変な目で見られることも多いと思います。
だからと言って、嘘をついてまで「親に感謝してる」と思わなければいけないのか?
自分の感情には、正直でいたいですね。
エピソード58 守ってくれた恩人
身内が自殺せず、人殺しの親と呼ばれず、私に殺されることもなく静かに人生を終えようとしている今がどれだけ貴重か。
エピソード58 守ってくれた恩人
自分が書いたんじゃないかと思うくらい、エピソードが似ていて心が苦しくなる場面もありました。
この言葉を見て、一言一句、自分の心の内側を見事に表現された気分になりました。
同じような思いの人がいて、前を向いて歩いているという事実を感じられただけで、この本を読む意味があったなと思います。
選者解説より
選者としてこの本の内容のまとめ的な文章を書かれている、東小雪さんと信田さよ子さん。
お二人の文章もとても胸にグッとくる言葉を書かれているので、こちらもぜひ読んで欲しいです。
印象的だった言葉をお一人につき一つずつご紹介します。
壮絶な痛みと苦しみを経て / 東小雪
状況は全く違っているのに、まるで自分のことが書かれているようだと感じることがなんどもありました。どのような種類の虐待であっても、大切な人から大切な時期に大切に扱われない経験は、人間を深く傷つけ、人生を通じて生きづらさを残すのです。
選者解説より 壮絶な痛みと苦しみを経て / 東小雪
どのような種類の虐待、「肉体的暴力」「精神的暴力」「性的暴力」など、暴力の種類は違っても毒親育ちには同じような生きづらさが心に刻まれてしまいます。
自分なりに毒親について調べたり、文章を読んでいくにつれて「自分はここまで壮絶な体験をしていないから、自分の親は毒親ではないんじゃないか?」と思うこともありました。
しかし、この言葉によって“毒親育ちには似たような心の傷が残る”ということを思い知らされました。
結局、自分の親が毒親かどうかは、自分が決めて良いんです。
「ありのままの姿」をさらす親たち / 信田さよ子
書き手のひとたちは、親の愛を求めているわけでもなく、恨みを垂れ流しているわけでもない。読まれるはずのない親に対して、ただただ自分たちが受けた被害を伝えているだけなのだ。親に読まれるはずのない手紙、読んだとしても理解するどころか一笑に付されるに違いないという絶望のもとに書かれた一〇〇の手紙。この本が作られる必要はそこにある。
選者解説より 「ありのままの姿」をさらす親たち / 信田さよ子
この本を普通の家庭で育った人が読むと
- 「いつまでも親のせいにするな」
- 「過去は過去、未来は自分で作っていける」
- 「くよくよと悩んでいたってしかたがない」
みたいに思うかもしれません。
重要なのは、毒親育ちは「自分たちが受けた被害を伝えているだけ」ということ。
「だからこうして欲しい」だとか、「だから反省しろ」と言いたいわけではない。
僕自信も、手紙という形ではないが、病気の症状や今の気持ちなどをまとめたものを渡したことがあります。
結果は、それを受け取らず、一瞥もせず、その紙に触れることなく終わりました。
必死に絞り出したその言葉も、あの人たちにとっては所詮、ただの“戯言”だったのです。
同じ気持ちを抱えた人たちと供に
きっと周りに毒親のことを言っても、理解されることはほとんどなかったでしょう。
ただ、この本には、あなたの気持ちを分かってくれる人たちがたくさんいます。
また、この本の人たちと同じように、自分なりの「日本一酷い親への手紙」を書いてみても良いと思います。
きっと、その時に書いた言葉が、自分の正直な感情があなたの味方になってくれるはずです。
最後に、あるエピソードから、印象的だった言葉を一つご紹介して、この記事を終えようと思います。
“憎むことでいつまでも縛られたくない。”
エピソード100 生きるための祈り
この言葉を胸に、僕は前に進んで行きます。
それでは、今日も良い一日を!
ルトラ(@lutraxlutra)でした。
- 心のモヤモヤをはっきりと言葉にしてくれる本
- あなたの気持ちを分かってくれる人がたくさんいる
- 自分なりの手紙を書いてみるのも良いですね
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