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『世の中にたえて桜のなかりせば』の作品情報
監督・脚本 | 監督:三宅伸行 脚本:三宅伸行、敦賀零 |
出演者 | 岩本蓮加 土居志央梨 郭智博 名村辰 柊瑠美 伊東由美子 徳井優 吉行和子 宝田明 |
ジャンル | ドラマ |
製作年 | 2022年 |
製作国 | 日本 |
上映時間 | 1時間20分 |
補足情報 | – |
『世の中にたえて桜のなかりせば』のあらすじ
女子高生の咲(岩本蓮加)は、あることがきっかけで不登校になった後、就活アドバイザーとしてバイトをしていた。
そんなある日、同じ職場でバイトとして働いている敬三(宝田明)の過去の話を聞いた咲は、終活の悩み相談をすることに。
そこで、病気で老い先短い妻がいることと、若い頃に見た思い出の桜をもう一度二人で見たみたいという敬三の思いを知る。
そして、いつもお世話になっている敬三とその妻の二人に喜んでもらおうと、同級生と一緒に桜の木を探しに出かけるのだが・・・。
『世の中にたえて桜のなかりせば』のキャスト
- 岩本蓮加
- 土居志央梨
- 郭智博
- 名村辰
- 柊瑠美
- 伊東由美子
- 徳井優
- 吉行和子
- 宝田明
『世の中にたえて桜のなかりせば』の感想・評価
就活アドバイザーのバイトをしている不登校の女子高生の奮闘
就活アドバイザーのバイトをしている不登校の女子高生が、一緒に働いているバイトのおじいちゃんの病気の妻のために、かつて見たという桜の木を探しに行く話。
涙と桜とBGMと音楽で感動映画っぽい雰囲気とは裏腹に、それぞれの人物描写がほとんどないせいで登場人物たちの言葉が薄っぺらく感じたので、悪い意味でギャップがすごかった。
それに、全体的にテンポが悪いのが気になった。
新人バイト2人に相談してくる人が「仕事上の都合で遺書を書かないといけないんだけど書けない人」と「自分の生きてきた証を残すため、自分の仕事のことを映画として撮ってもらいたい」というイロモノっぽい2人のお客さん。
そのちょっと変わった2人の相談に、高校生ながらの若い目線で解決するというわけでもなく、なんかよくわからないまま時間だけを消費していた。
前半の40分で行われる相談者2人とのやりとりは、特にストーリーにも影響していないし、主人公の人物描写を強めるわけでもないような展開がダラダラと続いたのは時間がもったいない。
ただでさえ1時間20分と短い時間しかないのだから、バイトしている不登校の女子高生が複数の依頼人とのやり取りを通して成長していく姿を、パパっとダイジェストで見せるだけで良かったと思う。
そして、時間がなくなったせいか、後半からラストに向けての大事なシーンがダイジェストっぽくポンポンと進んで行ったせいで、カタルシスによる感動も特になくあっさりと映画が終わってしまった印象。
あと、経験のなさそうな女子高生とおじいちゃんの二人が終活アドバイザーをやっていて、するアドバイスもなんか誰でも言えそうな雑で薄っぺらいものばかり。
バイトのおじいちゃんが元司法書士なんだから、その経験を活かして欲しかった。これじゃあ、老後のおじいちゃんのただの息抜きバイトじゃん。
それに、女子高生がいまさっき覚えたみたいに、マニュアルを棒読みでお客さんに説明する演出も無駄だった。
不登校だけどバイト先で頑張っているみたいな設定なら、その後の授業を邪魔して先生を追い込んだクラスメイトに詰め寄るシーンの時の言葉にも説得力が出てくる。
しかし、バイトして3日みたいな振る舞いのせいで、そのシーンの言葉に説得力がなさすぎて、何のためにクラスメイトを待ち伏せしてまで思いをぶつけたのかがよくわからない。
本当、何したかったの?という感じ。
あと、南雲先生のことを尊敬していたって言ってたけど、そんな描写も雰囲気もなかったから、その2人のやりとりにあまり感情が揺さぶられなかった。
不登校になった原因が南雲先生をいじめるクラスの雰囲気が嫌で、よく南雲先生のところに行ってご飯を作ったりしていたということが、尊敬していたことの証明であると言われたらそれまでなんだけど、ちゃんと映像として咲と南雲先生の関係性を裏付ける何かが欲しかった。
もしくは、先生がクラスメイトに授業の妨害といういじめを受けている姿が、過去の自分がいじめられた姿と重なったとかなら、先生を気に掛ける理由に説得力があった気がする。
現役の司法書士のおじいちゃんの下でアシスタント的に就活アドバイザーとして働くことで、学校以外の居場所を見つけると同時に、学生生活では知り得なかったであろう考えに触れることで、不登校の女子高生が人として成長していく物語で良かったと思う。
自分は乃木坂46のファンでもちろん岩本蓮加さんのことも知っていたけど、映画というよりは彼女の長編個人PVみたな感じだったので、ファンくらいしか喜ばないんじゃないかな…。
岩本さんと宝田さんの組み合わせは良かっただけに、ストーリーがちょっと物足りなかったなという感じでした。