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各地で高齢ドライバーの事故が相次いだことで、国は一定の違反歴がある75歳以上のドライバーを対象に、免許更新時の「技能検査」を義務化した。
そこで、高齢ドライバーの「免許更新」と「技能検査」について考えてみたいと思う。
高齢ドライバーの「免許更新」について
75歳以上のドライバーの運転免許更新の手続きは下記のような流れになっている。
特に事故を起こしていない74歳以下のドライバーの場合は、この図の②「運転適性検査(視力検査)」と「講義(座学)」くらいなので、それに比べると検査は厳しくなってはいる。
高齢ドライバーの「免許更新年数」について
現在、高齢者の免許更新年数はこんな感じです。
- 70歳以下の場合→有効期間が5年
- 71歳の場合は→有効期間が4年
- 72歳以上の場合は→有効期間が3年
これ見て思うのが「ちょっと長くない?」ということです。
理想は、高齢者の免許更新頻度は「1年ごと」が良いと思ってます。
理由としては、
- 年齢的に認知症が1年後に発症しててもおかしくはない
- 運動能力や判断能力が3年の間にほぼ変わらない保証がない
- 安全第一の運転を心掛けるため、短い頻度で自分の運転を見直す必要がある
ということです。
ただ、もし免許のの更新を「1年ごと」にした場合のデメリットが1つあって
それは「免許センターがめちゃめちゃ混むこと」
2022年5月に、一定の違反歴がある75歳以上のドライバーに、運転免許を更新するときの技能検査が義務化されたことで、免許更新センターが最大で“4ヶ月待ち”という状況になってしまっている(地域によっても当然違いはあるのだが)。
なので、免許の更新頻度を3~5年から1年にしてしまうと、
- 免許更新センターの人手が足りなくなる
- 免許更新センターが激務になる(人手不足の加速化)
- 予約が取れないまま免許が失効してしまう
などといったことが起きてしまう可能性がある。
できれば短い頻度で強制的に、自分の運転技術や安全意識について見直してもらう機会を設けることは大事になってくるが、あまり現実的ではないだろう。
高齢ドライバーの「技能検査」について
一定の違反歴がある75歳以上のドライバーに、運転免許を更新するときの技能検査が義務化されたが、問題なのが
「一定の違反歴がある75歳以上のドライバー限定」ということだ。
一定の違反歴とは下記の11個になる。
- ① 信号無視
- ② 通行区分違反
- ③ 通行帯違反等
- ④ 速度超過
- ⑤ 横断等禁止違反
- ⑥ 踏切不停止等・遮断踏切立入り
- ⑦ 交差点右左折方法違反等
- ⑧ 交差点安全進行義務違反等
- ⑨ 横断歩行者等妨害等
- ⑩ 安全運転義務違反
- ⑪ 携帯電話使用等
違反してない人はもちろん、違反したけどバレていない(違反としてカウントされていない)75歳以上のドライバーも技能検査の対象から外れてしまう。
もし90~100歳のドライバーでも「認知機能検査」と「高齢者講習」させ通ってしまえば免許の更新ができてしまう(運転技術の問題は関係ない)。
だから、現在の技能検査の対象である「一定の違反歴がある75歳以上のドライバー」から
- 一定の違反歴の有無に関係なく75歳以上のドライバー全員を対象にする
- 一定の違反歴がある70~74歳のドライバーも対象に含める
といったように運転技能検査の“対象範囲”を広げる必要があると考える。
もう一つ大事になってくるのが、「運転技能検査」の難易度を上げること。
FNNプライムオンラインによれば
5月から始まった高齢ドライバーの免許更新の際の実車試験制度で、6月末までにおよそ5000人が受験し、15%が不合格だったことが分かりました。
5月に施行された改正道交法では過去3年間に信号無視など11種類のうち1つでも違反をした75歳以上のドライバーは、免許更新の際に実際に車に乗る試験「運転技能検査」を受ける必要があります。
警察庁によりますと、6月末までに全国で受験した4982人のうち4225人が合格し合格率84.8%となっていますが、15%あまりが不合格だったことが分かりました。
試験は、6カ月の更新期限内に何度でも受けられますが、合格できない場合は免許が失効します。
引用元:FNNプライムオンライン 「【独自】高齢ドライバーの免許更新“実車試験” 15%が不合格 5月から約5000人が受験」より
となっているが、警察庁は実車試験制度が始まる前に、実車試験の不合格率を23%と推定していたので、推定よりも高い合格率となっている。
予想よりも高齢ドライバーの技術が高かったのだろうか。
とにかく、1発であれ複数回であれ合格率が約85%はやたら高く感じるので、1発目で合格する確率を70~75%になるよう運転技能検査の難易度を上げる必要があるのではないだろうか(複数回受ける人もいるだろうから、難易度は高め)。
それに、試験は6ヶ月の更新期限内に何度でも受けられるとなっているので、これも“受験できるのは2回まで”に限定した方がいい(イエロー2枚でレッドカード)。
現状、試験の予約が何ヶ月も埋まっている(最大4ヶ月待ち)らしいので、現実的には2~3回のうちに合格しなければ6ヶ月が過ぎ免許失効となってしまうのだが、極端な話で10回も20回も受けて合格した人が道路に出てきたらめっちゃ危ない。
お互いのためにもそういう「運転技術がない人」は免許を失効させた方がいいだろう。
限定免許(地域限定・時間限定)を導入する
海外の一部の地域では、運転できる道路や区域の範囲、時間帯などを限定する、「限定免許」というものが存在している。
高齢者の免許返納の話題になると必ず「年齢一律で免許返納させろ!」や「バスやタクシーを使え!」という声が上がるのに対し
- 同じ年齢でも問題なく運転できる人とできない人がいる!
- 都会はいいが、田舎などの公共交通機関がない場所は車が必要だ!
といった反論がでてくる。
どちらの言い分も理解できるので、折衷案として「限定免許」を導入することより、お互いの意見をある程度、柔軟に受け入れることができるのではないだろうか。
たまに限定外の運転をしてしまうドライバーも一定数いるだろうし、それを見つけるのは難しいかもしれないが、ある程度の抑止力にはなるだろうと思う。
まとめ:高齢ドライバーの事故を無くすにはこれをしよう!
高齢ドライバーの事故を事前に防ぐには、免許更新時に“運転技術が低い高齢者”をはじくか、“運転できる範囲や時間”を区切る必要がある。
- 免許更新年数を短くする
- 運転技能検査をするドライバーの対象範囲を拡大させる
- 運転技能検査の難易度を上げ、受験回数に制限を設ける
- 地域限定・時間帯限定のような「限定免許」を導入する。
あとは、個人個人が将来に備えて「自分が高齢者になった場合のこと」も考えておくことが必要ではないのだろうか。