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『Dressing UP』の作品情報
監督・脚本 | 監督:安川有果 脚本:安川有果 |
ジャンル | ドラマ |
製作年 | 2012年 |
製作国 | 日本 |
上映時間 | 1時間8分 |
補足情報 | – |
『Dressing UP』のあらすじ
父親と2人暮らしの中学1年生・桜井育美(祷キララ)は、学校で「将来の夢について考えてみる」というアンケートをが出されたが、うまく自分の将来を想像することができずにいた。
クラスメイトの「母親のような立派な人になりたい」という発言を聞いた育美は、幼い頃に亡くした母がどういう人物だったのか興味を持ち始める。
父親に母親の話を聞いてみるものの、「まだ仕事が残ってる」と話をはぐらかされてしまう。
しかしある日、ふとしたことをきっかけに父親が隠してた母の壮絶な過去を知った育美は、母親のことをもっと知ろうと学校である行動を起こしてしまう・・・。
『Dressing UP』のキャスト
- 祷キララ
- 鈴木卓爾
- デカルコ・マリィ
『Dressing UP』の感想・レビュー
一人の女子中学生が抱える怪物とその葛藤
この映画は「神戸連続児童殺傷事件」からインスピレーションを受けているらしいが、共通点をざっくり言えば「ヤバい子供」ということくらいなので、あまり気にしなくても良さそう。
主演の祷キララさんは、撮影当時小学6年生だったようで、その演技力の高さと独特な空気感にとても驚いた。
この映画は彼女の存在ありきの映画となっているが、逆に言えば彼女でなければこの映画は成り立っていなかった。
それくらい何を表現したいのかがはっきりせず、強引な展開や曖昧な部分も多いため、いまいち面白いとは思えなかった。
前半部分は良かっただけに、後半の失速感や雑な感じはとても残念だった。
なんで桜井育美(祷キララ)があのような性格になってしまったのか、いつからそうなったのかがほとんど描かれていないのはなぜなのだろうか。
育美が病気や障害を持っているのは明らかで、精神科らしきところに通っていたのも明らかなんだけども、なんの病気なのかがぼかされている。
別にそこ隠さなくてもいいのにって部分で、むしろ明らかにした方が彼女と言う人物像がわかりやすくはっきりするのに、なんではっきりさせなかったのだろうか。
たぶん統合失調症なのかな?ということくらいしかわからない。
あと、リアリティに欠けるなという部分が多かった。
育美が前の学校でも何らかのトラブルを起こしたのに、担任の先生がそのことや育美の病気のことをあんまり把握してなさそうなところとか、特に一人で教室の机を分解してめちゃくちゃにするところとか、なぜか育美の支持に従って動く5~6人?の男の子の演出とか、とりあえず彼女をわかりやすく“ヤバい子”と表現をしようとしたものの、表現が拙すぎて、人物像が浅くまた説明不足になってしまっているという感じ。
結局、主人公の人物像の掘り下げがないまま、突発的に思いついたことを撮りました!という感じが映画全体から伝わってきて、理屈も何もないめちゃくちゃな感じだったのがこの映画の一番ダメな部分だったかなと思う。
あと、たまに出てくるプレデターの素顔っぽい顔をした化け物は、おそらく彼女の内面を映し出した化け物ということなのだろうけど、見た目と演出の雑さにB級ホラー映画を観ているような感じ。
最後ら辺の小屋のシーンとか、悪い意味で現実なのか妄想なのかわからないのもモヤモヤするし、なぜか育美と父親の首に傷が出来てるのもよくわからない。
何かの比喩というわけではなく物理的に傷ができているので、なおさら意味がわからなかった。
育美の父親の父親(会ったことないおじいちゃん)が育美に接触してきて、育美の母親(その人の娘)の過去をバラしたのもなんだったの?という感じ。
主演の子の演技力と独特な空気感は、桜井育美という役の魅力を存分に発揮していたように見えるだけに、脚本が面白くなかったのが悔やまれる。
ストーリーを理路整然と作り上げることができていれば、主人公の葛藤や悩みをもっとちゃんと表現できていたんじゃないかなと思いました。
いかんせん、余計なノイズが多すぎる印象だった。
あと地味に気になったのは、大阪が舞台でほとんどの登場人物と桜井育美が大阪弁?関西弁?の中、お父さんが標準語だったのはなんだったのだろうか。