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【映画感想・レビュー】映画『Eggs 選ばれたい私たち』産みたくないけど残したい女性の葛藤

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映画『Eggs 選ばれたい私たち』の作品情報

監督・脚本監督:川崎僚
脚本:川崎僚
出演者寺坂光恵
川合空
三坂知絵子
新津ちせ
湯舟すぴか
みやべほの
見里瑞穂
斉藤結女
荒木めぐみ
鈴木達也
高木悠衣
ジャンルドラマ
製作年2018年
製作国日本
上映時間1時間10分
補足情報

映画『Eggs 選ばれたい私たち』のあらすじ・内容

エッグドナー(卵子提供者)に志願した独身主義の純子(寺坂光恵)は、ドナー登録説明会で偶然にも従兄弟の葵(川合空)と再会する。
葵は同棲中だった恋人とケンカして別れ、行くところがなくマンガ喫茶などを転々として生活していた。
葵から、エッグドナーに登録したことを純子の母親に秘密にする代わりに居候させてほしいと頼まれ、純子は断れずに受け入れてしまう。
そこから奇妙な同棲生活が始まり、エッグドナーに選ばれるため、遺伝子上の母親となるため、二人の新しい生活がスタートするーーー。

映画『Eggs 選ばれたい私たち』の感想・レビュー・評価

ただのペンギン🐧の映画感想・レビュー&評価
総合評価
 (3.5)

産みたくないけど残したい女性の葛藤


エッグドナー(卵子提供者)の登録説明会で、独身主義者の純子と従兄弟でレズビアンの葵が偶然再会し、女とは?本当の自分とは?に向き合っていく話。

独身主義の人、レズビアンの人、仕事でキャリアを築きたい人といったように、様々な目線から社会から求められる女性像と自分が理想とする実像との違いの悩みをを描いている話で、自分は男だけど見て良かったなと思える作品でした。

女性は30歳までに結婚・出産と言った価値観が社会にはあって、それを女性たち自身も感じていて、結婚や主産をしていない自分に引け目を感じることがあって、それが生きづらさを感じる原因なんだろうなというのがすごく伝わって来ます。

タイトルの「選ばれたい私たち」とか、生理現象を「無駄」と呟いたり、選ばれなかったときに「卵子がもったいない」というセリフなどの会話の節々に、女に生まれたからには子供を産まなきゃ意味がないとか、子供が産みたいわけじゃないけどこの世に子供は残したい、自分が産まれた意味を実感したいみたいな女性ならではの葛藤や悩みがに心が苦しくなってきます。

いや、この心の苦しみなんて気まぐれのような軽いものかもしれませんし、女性からしたらバカバカしい感情かもしれませんし、葛藤や悩みが伝わってくるほど女性の気持ちを理解できたわけでもないですし、この映画を観たとしても、女性の気持ちの1000分の1も理解できていないと思うんですけど、男の自分でもなんか考えさせられる作品だったなと思います。

女子会のシーンでは、子供が出来た人、結婚する人、仕事で忙しく結婚には縁がない人、結婚も恋人もいなければ仕事に生きがいを感じているわけではない人といった、価値観が違う4人が集まった時にあの気まずい感じとか、女子会に参加したことないけど生々しい感じが伝わってきて良かったです。

人生のステージや生き方が違えば、昔からの友達でも話が合う合わないは出てくるし、気を使ったり、気を使われていることに気が付いていたりして傷ついたりは当然あるんだろうなと言う感じでした。

とりあえず、「女性は早く結婚しなきゃ!」とか「30歳までに子供を産まないとね」とか思うのは勝手だけど、それを女性に直接伝える生き物は全員滅びればいいのにって感想です。
そういう人には、一度この映画を観てもらいたいですね。

気になったことと言えば、なんで純子が独身主義者になったのか、なぜ結婚する気も子供を産む気もなくなったのかが全くわからなかったため、その話があればより良かったです。
自分でははっきり言語化できないけど、それがわからないということなのか…。

それとも、自分のように「なんでかわからないけど結婚する気も子供を産む気がない」という人間が想像できないということが、そういった女性たちを無自覚に苦しめているということなのかな?
自分ではそう思ってるつもりはないけど、純子のこの気持ちがわからないということは、無意識に「女性は結婚したり子供産んだりしたいんでしょ」的なことを考えてるみたいな。

そこは本題ではないと意図して純子の過去を描かなかったのかはわかりませんが、純子は「子供を残したい」という気持ちがある以上、「子供を残したいという気持ちはあるけど、独身主義者になったのはなぜ?」と疑問でした。

あとは、音量や音質が、話をしている途中(場面転換ではない)で変わってしまうところも地味に気になりました。
物語は良かったので、細かいところ丁寧に作って欲しかったです。
最後の方で純子と同級生が真面目に話してる場面でも、画面の真ん中でライトがチカチカしてるのも自分にはノイズでした。他の人は気にならなかったのかな。

とにかく、この作品は、25~30歳あたりの女性には刺さる話だと思いますし、男性も一度は見た方がいいなと思った映画でした。