【映画感想・レビュー】映画『ドライビング・バニー』子供と引き離された貧困シングルマザーが社会の底辺から這い上がるために暴走する

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映画『ドライビング・バニー』の作品情報

監督・脚本監督:ゲイソン・サヴァット
脚本:ソフィー・ヘンダーソン
出演者エシー・デイヴィス
トーマシン・マッケンジー
エロール・シャンド
トニ・ポッター
シャナ・タン
ジャンルドラマ
製作年2021年
製作国ニュージーランド
上映時間1時間40分
補足情報原題:The Justice of Bunny King

映画『ドライビング・バニー』のあらすじ・内容

あることがきっかけで、息子と幼い娘と引き離されてしまったシングルマザーの女性バニー・キング(エシー・デイヴィス)は、信号待ちの車の窓ふきをして日々小銭を稼いでいた。
家庭支援局の監視付きでしか子供たちと面会できない今の生活から抜け出すため、妹夫婦の家に居候しながら、新居を借りるための資金を必死に貯めていた。
そんなある日、妹の夫がバニーの姪であるトーニャ(トーマシン・マッケンジー)に言い寄っているのを目撃し掴みかかったところ、家を追い出され貯めていた引っ越し資金も取られてしまう。
娘の誕生日を家族3人で過ごすためには住居が必要だが、借りるための資金も失くなってしまったバニーは、ある大胆な行動を取るがーーー。

映画『ドライビング・バニー』の感想・レビュー・評価

ただのペンギン🐧の映画感想・レビュー&評価
総合評価
 (3.5)

子供と引き離された貧困シングルマザーが社会の底辺から這い上がるために暴走する


あることがきっかけで子供と引き離されたシングルマザーが、子供と一緒に暮らす夢を叶えるため、奮闘?暴走?する話。

いくら子供に会いたいとは言え、里親の元に無断で訪問したり、車盗んだり、結構な量の万引きをしたり、マンションに無断侵入&宿泊したり、家庭支援局の人に凶器突きつけたり、移転先の里親の住所を盗んだり、窓ガラス叩き割ったり、やることが過激すぎてちょっとついていけなかったかな。
これを、支援の制度に漏れた貧困層の叫びだとか、子供に会いたい母親の必死の思いみたいな感じで片付けるにはやりすぎだった。

あとこの映画が薄っぺらく感じたのは、主役のシングルマザーのバニー・キングの人物像が弱かったからかな。
父親(バニー・キングの夫)が幼い娘を強く揺さぶって壁に叩きつけたのを見て、“同じ目に遭わせてやる”ってなって殺してしまったんだけど、その後の「私は怒りを抑えられないの」って証言から考えると、娘を守るためにやったというよりは、ただ怒りが抑えられなくて殺してしまったという感じ。

子供を守るために必死になってやったのと、怒りが抑えられないのとじゃ全然人物像が違くて、前者ならその後の映画の内容にはなんとなく理解はできるんだけど、後者だともう子供のためとか関係なくただ単に怒りが抑えられないヒステリック女になっちゃうんだよ。
それで、たぶんバニー・キングは後者の人間だから、この映画では終始ヒステリック女の大暴走を見せられてるだけな気がした。

あと、そもそも過去に何があったかが本人の口から、しかもちょっとしか語られないのも物足りないし、正直バニー・キングの性格や行動を見てると本人の話はあまり信じられないので、せめて過去の回想を挟むとかして人物像をもっとハッキリさせて言動や行動に説得力が欲しかった。

夫を殺して服役後、前科のせいで職につけないとか、福祉の支援制度から漏れてしまったとか、そういったエピソードがあれば、家庭支援局の人たちに訴えるシーンは理解できたんだけど、そういう話は一切出てこないし、基本的にバニー自身が家庭支援局から言われた規則を破ってるのが悪い場面が多々あったのであまり同情できなかった。

地味に気になったのは久しぶりの子供との再会の時、小さい娘と接するときはすごく嬉しそうだけど、息子と接するときはそこまで嬉しそうじゃないこと。
もちろん、息子は高校生くらい?だから小さい娘との接し方に差があるのは仕方がないんだけど、子供との対面ってどちらも同じくらい嬉しいもんじゃないのかな?って思った。

映画の感想は、トーマシン・マッケンジーが可愛かったのと終わりに希望が持てたのは良かったけど、映画としてはそこそこ面白かったかなという感じ。
子供と引き離されたシングルマザーならもっと理解できたのかな?

あと、邦題の『ドライビング・バニー』だとロードムービーっぽい感じがするけど内容は全然そんなことなくて、むしろ英題の『The Justice of Bunny King(バニー・キングの正義)』の方が映画の内容には合ってた。