【映画感想・レビュー】映画『キル・チーム』新人兵士が無抵抗の民間人を殺すようになるまでの実話

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映画『キル・チーム』の作品情報

監督・脚本監督:ダン・クラウス
脚本:ダン・クラウス
出演者アレクサンダー・スカルスガルド
ナット・ウルフ
アダム・ロング
ジョナサン・ホワイトセル
ブライアン・マーク
オシ・イカイルロブ・モローアンナ・フランコリーニオリバー・リッチー
ジャンルドラマ
製作年2019年
製作国アメリカ、スペイン
上映時間1時間28分
補足情報原題:The Kill Team

映画『キル・チーム』のあらすじ・内容

強い正義感を持ってアメリカ軍に入隊した新人兵士・アンドリュー・ブリッグマン(ナット・ウルフ)は、アフガニスタンで現地住民の取り調べをするだけの退屈な日常が続いていた。
そんなある日、目の前で上官が地雷を踏んで爆死するのを目撃してしまい、自分のいる場所がいつ死んでもおかしくない戦場だということを思い知らされる。
新しく上官として赴任してきたディークス軍曹(アレクサンダー・スカルスガルド)は、厳しい態度で部隊を統率し、そんな彼にブリッグマンを含む新人兵士たちは畏敬の念を抱いていた。
だがしかし、ディークス軍曹は正義のためなら無抵抗の民間人も殺すような男で、彼の支持の元、部下の兵士たちも民間人を殺すようになっていきーーー。

映画『キル・チーム』の感想・レビュー・評価

ただのペンギン🐧の映画感想・レビュー&評価
総合評価
 (4)

新人兵士が無抵抗の民間人を殺すようになるまでの実話


2010年、アフガニスタン駐留米軍の兵士たちが、スリルを楽しむために遊び半分で現地の民間人を射殺した実話を基にした映画。

正義感に燃えてアメリカ軍に入隊したであろう新人兵士たちが、上司や現場の雰囲気に呑まれて徐々にまとわりつく空気感が変わっていく様子は見ていてつらいものがある。

もちろん、武器もない危害も加えてこない民間人を殺すのは新人だろうと何があってもダメなんだけども、優しい上官が地雷を踏んで死ぬのを目の前で見てしまったことで、“殺さなければ自分たちが殺されてしまう”という極限の状況が若い兵士たちを変えてしまったのだろうか。
そうであるなら、新人の兵士たちには同情するものがある。

さらに、そんな未熟な彼らをコントロールするのが上官の役割のはずなのに、新しい上官が民間人を殺すことをいとわない猟奇的な人間で、部下の兵士たちを言葉巧みに操って、民間人を殺すことを当たり前に出来る“キル・チーム”を作りあげた上官が裁かれるのは当然なんだけど、彼が最初からそういう人間だったのかはわからない。

上官もまた、新人と同じような気持ちで軍に入隊したんだろうなと思うけど、現地での戦闘や仲間の死を経験して、仲間を守りたい、アメリカを守りたいという強い正義感が悪い方向に行ってしまったんだろうなとも感じるから、経験していない自分が、民間人を殺した上官を強く非難することもできない。

銃撃戦のようなわかりやすい戦争の一面はほとんどないですが、新人兵士、特に主役のブリッグマンが、周囲の変化や上司のやり方に納得できない葛藤や、そんな自分が仲間から裏切り者として扱わられるんじゃないかという恐怖だったり、期待に胸を膨らませて入ったアメリカ軍が期待してたものじゃなかったことへの絶望など、新人兵士の心の変化を捉えた良い映画だったと思います。

この映画全体に重い空気と緊張感を漂わせたディークス軍曹役のアレクサンダー・スカルスガルドの演技も見事でした。