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『ジョーカー』の作品情報
監督・脚本 | 監督:トッド・フィリップス 脚本:トッド・フィリップス、スコット・シルヴァー |
ジャンル | ドラマ、スリラー |
製作年 | 2019年 |
製作国 | アメリカ |
上映時間 | 2時間2分 |
補足情報 | 原題:Joker |
『ジョーカー』のあらすじ
アーサー(ホアキン・フェニックス)は、小さな会社でピエロの格好をして働きながら、スタンドアップコメディアンになることを目指している。
だが、脳の障害により突如笑い出してしまうことがあるため、彼の人生は困難を極めていた。
その上、身体が弱く働けない母のために介護をしているため生活に余裕はない。
そんな彼らへの福祉支援も打ち切られてしまい、さらには、あることがきっかけで大好きな仕事もクビになってしまう。
社会から孤立し、無視され、誰も助けてくれないという絶望的な状況に、アーサーの心は徐々に深い闇へと沈んでいく。
耐え難い悲劇を何度も経験していくうちに、心優しい一人の男が<悪のカリスマ>ジョーカーへと変貌してしまうーーー。
『ジョーカー』のキャスト
- ホアキン・フェニックス
- ロバート・デ・ニーロ
- サジ・ビーツ
- フランセス・コンロイ
- マーク・マロン
- ブレット・カレン
- グレン・フレシュラー
- ジョシュ・パイス
- シェー・ウィガム
- ブライアン・カレン
- ビル・キャンプ
- ダグラス・ホッジ
- イザベラ・フェラーリ
- デイビット・イアコノ
- マンデラ・ベラミー
『ジョーカー』の感想・評価
心優しい男性が<悪のカリスマ>ジョーカーへと変貌する
<悪のカリスマ>ジョーカーはどのようにして生まれたのかという過程を綴った、サスペンス・エンターテイメント映画。
チープだがいま風な表現をすると、“無敵の人”の誕生秘話といった感じだろうか。
最初から最後まで救いようがない話だった。
ここからは結構なネタバレありで感想を書いていきます。
アーサーは脳の障害により突然笑ったりしてしまうというハンデを抱え、定期的に精神科(?)でカウンセリングを受けながらも、身体が弱く病気で働けない母の面倒を見ながら、コメディアンを目指して道化師(ピエロ)の格好をし人を楽しませる仕事をしている。
バスに乗っている際、前に座っている子供がジッと自分を見てくるためお茶らけて笑わせる。その子の隣にいた母親には「構わないで」と注意される。
すると、アーサーは突然笑いだしてしまう、その母親に気味悪がられてしまう。
路上で仕事をしている際に、持っていた看板を悪ガキ達に奪われ、追いかけたら集団でボコボコに殴られる。誰も助けてくれない。
社長は看板は借りていたものだから返せという。看板は悪ガキ達に奪われたというが信じてくれない。今すぐ看板を返さなきゃ給料から引くと言われる。
それらの話を聞いた同僚が護身用としてアーサーに銃を渡す。仕事中もその銃を肌身離さず持っていたが、仕事中にうっかり落としてしまい仕事をクビになる。
地下鉄に乗っている際、突如笑い出してしまったところ、酔っぱらったサラリーマン三人が絡んでくる。怒りのまま三人を撃ち殺してしまう。
カウンセリングに通っていた病院が閉院してしまうらしい。彼は誰を頼ればいいのだろうか。誰も助けてくれない。
国や市役所からの支援も打ち切られてしまう。
母親がある人へ送っていた手紙を見てしまい、母親が実は実母ではなく、自分は養子として迎え入れられたことを知ってしまう。
母親が精神障害で入院していた病院に行きカルテを奪ったところ、自分は過去に母親の恋人だった男から虐待されていたことを知る。母親は守ってくれなかった。
母親が倒れた。その入院先に行き母親を殺す。
いつも憧れて見ていたコメディ番組で、自分がショーで笑いを取ろうとしているところを紹介される。最初は嬉しかったが、どうやら馬鹿にされているみたいだ。
しかし、それがきっかけで憧れの番組に招待される。
そして、その番組で、一人のコメディアンとして、人生最大のエンターテイメントを巻き起こそうと計画する。
とりあえず、ジョーカーの生い立ちや出来事をざっくり書いてみたが、とにかく救いようがない。
アーサーはコメディアンで喜劇を望んでいるはずなのに、人生は悲劇という最高の皮肉も心にグサグサ刺さる。
こういった、いわゆる“無敵の人”を支持するわけではないが、長い間誰にも助けてもらえないという悲劇にさらされたり、支援の隙間からこぼれ落ちてしまった人が行きつく先は、アーサーのように怪物になるか自ら命を絶つかの2択しか用意されていないようにも思える。
映画を観終わった後は、ジョーカーの行動は非難するが、動機は理解できるといった難しい感情に襲われる。
この映画は、孤独を感じた人だけが本当に共感できる作品だなと思う一方で、この映画を観て一人でも誰かの孤独に寄り添える人が増えたらいいなと思った。
話はちょっと変わって、この映画で特に印象的だったのはBGM。
どんなに理不尽な目に遭っても、心優しい人物であるアーサーの表情からは怒りや憎しみの様子はさほど感じられない。しかし、効果的なBGMを使うことで、アーサーが徐々に暗い闇の底へと沈んでいく様子や、心の中から湧き上がる“負の感情”を見事に現していた。
映画の要所要所で使われるBGMによるアーサー(ジョーカー)の心理描写が凄まじすぎて、まさに身の毛がよだつとはこのことだなと感じた。
最後に補足として、ジョーカー自体はバットマンに登場するスーパーヴィランのことだけども、そのジョーカーと今作のジョーカーは別物で別の世界線(パラレルワールド的な)の人物です。
なので、今作を経てジョーカーが誕生し、後にバットマンと対決するという流れではないということだけ補足しておきます。