【感想・ネタバレ】映画『ある少年の告白』同性愛者の隔離体験について描いた真実の回想録【★4.0】

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『ある少年の告白』作品情報

監督ジョエル・エドガートン
出演者ルーカス・ヘッジズ
ニコール・キッドマン
ラッセル・クロウ
ジョエル・エドガートン
グザヴィエ・ドラン
トロイ・シヴァン
ジェシー・ラトゥーレット
ブリットン・シアー
ジョー・アルウィン
ジャンルドラマ
製作年2018年
製作国アメリカ
上映時間1時間55分
補足情報原題:Boy Erased

『ある少年の告白』あらすじ

アメリカ・アーカンソー州の田舎町で育った18歳のジャレッド・イーモンズ(ルーカス・ヘッジズ)は、大学生活中でのあることがきっかけで、両親にゲイだということがバレてしまう。
父でありバプテスト派の牧師でもあるマーシャル・イーモンズ(ラッセル・クロウ)は、ジャレッドを教会が支援する“同性愛者矯正プログラム施設”に無理矢理入れることを決意する。
両親の強引な決定に納得がいかないまま入所したジャレッドだったが、その施設で行われていたことは、同性愛を一切認めず、自分を否定し、自分を偽ることを強制させるプログラムだったーーー。

『ある少年の告白』感想・ネタバレ・評価

ただのペンギン🐧の映画感想・レビュー&評価
総合評価
 (4)

同性愛者の隔離体験について描いた真実の回想録


実際に起こった、同性愛者の“性癖を矯正すること”を目的をした施設での出来事を映画化した作品。
原作は、2016 年に出版されたガラード・コンリーの回想録が基となっている。

その施設は教会が主導していて、施設とは名ばかりのほとんどカルト宗教に近い「同性愛ビジネス」という方がしっくりくるだろう。
そこでは、同性愛=病気と捉えられていて、叩いたり水に沈めたりすることで体から悪霊を追い出すといった宗教的なやり方や、家系図と親族の情報(アルコール依存症の人がいるかとか、DVをする人がいるかとか)を書いて精神的に分析したり、トレーニングや男らしいポーズをさせることで行動的に矯正させたりする。
そして、セラピープログラムの内容は例え親であっても口外しないようにするなど、狡猾に運営していることがうかがえる。
この映画を観ていると、同性愛は自分の本当の気持ちを殺してまで無理矢理に矯正させるものではないと強く感じる。

舞台の年代は2004年頃なので、いまからおよそ20年ほど前の出来事。
20年前と言ったらそこそこ昔のように聞こえるけど、2000年代に入ってもまだこんなことが行われていたのかと思うと驚きだ。

自分は元々、LGBTQに(たぶん)偏見がない(知り合いに何人かいたのもあるだろうけど)。
というかそもそもそんなに興味がない、別に気持ち悪いとか変とかも思わないし(客観的事実として少数だなとは思うけど)、誰に迷惑をかけているわけでもないし。男が男を好きになろうが、女が女を好きになろうが、好きな人ができるというのはいいことじゃないかと思ってる。
そんな同性愛肯定派の自分は見て良かったと思った作品。


知り合いや親族に同性愛者がいる人、同性愛者本人、もしくは、同性愛者が身近にいないとしても同性愛に偏見を持っている人にぜひ見てもらいたい作品だ。
同性愛者=病気・変人・悪みたいな価値観が少しでもある人には響くものがあるんじゃないかな。

日本ではLGBTQの人が全体人口の3~8%程度いると言われているけど、同性愛への理解者が増えて、そういう人たちが生きやすい世の中になったらいいなと思う。

原題は『Boy Erased』で、直訳だと『消された少年』って感じかな。
“個性を消された”、“存在を否定(消去)された”、“心を消された”というニュアンスだろうか、良いタイトル。
邦題は『ある少年の告白』で、映画にピッタリのタイトルとなっている。