【映画感想・レビュー】映画『ノマドランド』アメリカの高齢労働者や車上生活者の現実を描いたロードムービー

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映画『ノマドランド』作品情報

監督・脚本監督:クロエ・ジャオ
脚本:クロエ・ジャオ
出演者フランシス・マクドーマンド
デヴィッド・ストラザーン
リンダ・メイ
ボブ・ウェルズ
シャーリーン・スワンキー
ジャンルドラマ
製作年2020年
製作国アメリカ
上映時間1時間48分
補足情報原題:Nomadland

映画『ノマドランド』あらすじ・内容

アメリカ西部・ネバダ州の田舎にある企業城下町が経済崩壊の影響を受けて閉鎖したことで、60代の女性・ファーン(フランシス・マクドーマンド)は長年住んでいた家を失ってしまう。
彼女は、亡くなった夫との思い出や生活に必要な荷物をバンに詰め込み、現代の遊牧民“ノマド”として生きていくことに。
過酷な季節労働の現場を渡り歩く車上生活や、行く先々で出会う“ノマド”の人たちとの交流を経て、彼女の旅は続いていくーーー。

映画『ノマドランド』の感想・レビュー

ただのペンギン🐧の映画感想・レビュー&評価
総合評価
 (4)

アメリカの高齢労働者や車上生活者の現実を描いたロードムービー


ジェシカ・ブルーダーさんが著作で鈴木素子さんが翻訳した『ノマド: 漂流する高齢労働者たち』が原作。
原作の内容は、車上生活者の中にはキャンピングカー好きの気楽なリタイア族がいる一方、住処を失い車上生活をしながら過酷な労働現場を渡り歩く人々を数百人取材したジャーナリストが、アメリカの現実を描いたノンフィクション作品となっています。

映画では主役の60代の女性・ファーンと、彼女に心を通わせるノマドのデイブ以外は実際の車上生活者なので、ドキュメンタリーやノンフィクションに限りなく近いフィクションという感じの作品です。
アメリカの社会問題を扱った社会派映画でもあります。

日本でもホームレスはいますし、ニュースで道の駅などを転々とする車上生活者の話題だったり、高齢者の孤立や孤独死が社会問題になっているので、どこの国でも似たような現状なんですね。

特に大きな展開はなく主人公のセリフも多くはないので、車上生活者目線でアメリカの雄大な自然や寒々しい空気を感じながら、何もない穏やかな時間が流れる様子や、生活のために仕事を転々とする車上生活者の様子を感じることができると思います。

ただ、原作は未読ですが、原作に書かれているであろう高齢労働者の悲惨さはあまり感じられなかったのが少し残念でした。

主役のファーンが60代の高齢女性で家がなく、車上生活をしながら肉体労働に近い季節労働を転々としているという点は大変な状況だと思いますが、彼女には姉がいて、姉が一緒に住むように勧めますがファーンは拒否します。
その後も、ノマド生活で出会った高齢男性がいて、その男性が男性の子供たちと一緒に住むことが決まり、一緒に住むようファーンに進めるが、それも彼女は拒否します。

拒否する理由は、亡くなった夫との思い出が残る土地を離れられないからだとは思いますが、頼れば助けてくれる存在がいるということは彼女の救いでもあり、このシーンがあるせいで、大変な生活を送っているノマドの人たちの悲惨な現状をぼやかす要素にもなっているように感じました。

ファーンは、会社が倒産したことによりいまの車上生活を送ることになりましたが、正直、頼ろうと思えば頼る人がいるわけです。
ただ、彼女はそういう生き方を“自ら”選んでいます。
一方で、家もなく頼る人もいなくて車上生活をするしかないノマドの人たちもいるわけで、彼らと彼女では状況が全く違います。

困っているノマドの人たちの現状を伝えるだけならノンフィクションのドキュメンタリーでいいですし、映画としてそれらを表現するには彼女のような架空のキャラクターの存在が必要だとは思いますが、何を伝えたいのかがハッキリしてないような印象を受けました。

ノマドの人たちの現状を伝えるという意味では弱く、自分の意志で生きていくということを伝えるという意味でも弱いなという感じです。

映画全体でなんだか引き込まれる空気感が漂っていたのは事実で、それに引きずられるように画面から目を離せずにいたので面白い映画だとは思います。