【映画感想・レビュー】映画『色あせてカラフル』自分の過去と向き合うということ

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映画『色あせてカラフル』の作品情報

監督・脚本監督:横山久美子
脚本:横山久美子
出演者佐藤玲
黒羽麻璃央
落合モトキ
岩井七世
田中要次
研ナオコ
さわまさし
福田らん
時任亜弓(時任歩)
ジャンルドラマ
製作年2015年
製作国日本
上映時間1時間5分
補足情報

映画『色あせてカラフル』のあらすじ・内容

23歳の奥本カナミ(佐藤玲)は、子供の頃にあった大きなアザが原因で、人の目を見て話すことも、友達と一緒に写真を撮ることも、鏡に映った自分の姿を見るのも苦手だった。
それがきっかけもあり、派遣社員として働いていた会社をクビになってしまう。
貯金も底を尽きかけて悩んでいた時、たまたま近くを通りかかった美容室でアルバイト募集の張り紙を見たカナミは、思い切ってそこでアルバイトを始める。
そして、そこでの様々な出会いや他人の過去に触れることで、自分自身の過去とも向き合っていくーーー。

映画『色あせてカラフル』の感想・レビュー・評価

ただのペンギン🐧の映画感想・レビュー&評価
総合評価
 (3.5)

自分の過去と向き合うということ


子供の頃にあった顔の傷がトラウマとなっている女性が、色々な人との出会いやその人の過去を知ることで、自分のトラウマと向きあい前向きになっていく話。
主演の女優さんの雰囲気や演技が良くて、それに声が心地いいなと思っていたら、前に見た『ドンテンタウン』に出ていた人だった。この人の表情の演技は見ていて楽しい。

話としては、「見えていないだけ知らないだけで、誰だって過去に対して何かしらの悩みを抱えているんだよ」的な感じ。
言いたいこともストーリーもシンプルでわかりやすいんだけど、深そうで浅い感じ。
おそらく、テーマが浅いというよりは、人物描写が少ないから全体的に薄っぺらい映画になっていた感じかな?
1時間なんて短い時間じゃなく2時間、せめて1時間30分くらいの長さで人物描写をしっかりとしていれば面白い映画になったと思う。

大学生役の人のキャラがテンプレのような陽気な大学生という感じなんだけど、日曜のヒーロー戦隊ものとか仮面ライダーに出てきそうな演技で、この映画では少し浮いているように見えた。
あと、河原で会った後、スーパー、夜中の帰り道、アルバイト先の美容室とめちゃくちゃ話に絡んでくるから、なんだかストーカーっぽくて気味悪かった。
むしろそういうホラーな展開を作ろと思ったほど、強引に話に入って来るのが違和感がすごかった。
あと、家族を捨てて夜逃げした親父が、秋田から上京してきて大学生の男に酒をせがみに来るってどういう展開?

昔の同級生(?)と再会してからの流れもいまいちだった。
カナミの友達が「あらた君かっこいいよね~」って話しただけで、カナミ自身とあらた君が学生の頃に話していた描写もないし、絡み方が唐突だった気がする。
ここは、あらた君がカナミの顔のアザをいじったとかのエピソードがあった方が自然だったんじゃないかな。
あと、足を引きずってる理由を、普通に自転車に乗ってたら突然神経が切れたってことだったけど、急すぎて「えっ?」って感じでよくわからなかった。
その日にサッカーの試合があって、そこで激しい衝突で足を痛めたけどその時は何ともなかった、と思ったら急に・・・って流れならまだ理解できたんだけど、ちょっと強引で雑な展開の仕方だったかな。

主役の20代の女性も、顔のアザに悩んでたエピソードがもっとあっても良かったと思うし、いつ頃からアザを消したのか、アザを消したことでどういう気持ちや葛藤が生まれたのか、そういった描写があった方が絶対に面白くなった。
普通に考えれば、コンプレックスだったアザを消したらある程度は気持ちは明るくなると思うけど、なんでそういった前向きにな気持ちになれなかったのか、そこのところを詳しく知りたかった。

ラストまでにもっと内容を積み重ねて欲しかったとは思うけど、最後の2人の会話はすごく良かった。
「わかってる。わかってはいる」「うん」というシンプルな終わり方なんだけど、言い方とか空気感がすごく魅力的でした。