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【映画感想・レビュー】映画『ドライブ・マイ・カー』それでも、生きていく

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映画『ドライブ・マイ・カー』の作品情報

監督・脚本監督:濱口竜介
脚本:濱口竜介、大江崇允
出演者西島秀俊
三浦透子
岡田将生
霧島れいか
パク・ユリム
ジャンルドラマ
製作年2021年
製作国日本
上映時間2時間59分
補足情報原作小説:村上春樹の短編小説『女のいない男たち』より「ドライブ・マイ・カー」

映画『ドライブ・マイ・カー』のあらすじ・内容

著名な舞台俳優で演出家の家福(西島秀俊)は、脚本家の妻・音(霧島れいか)と幸せな日々を送っていた。
しかしある日、家福が家に帰ると床にうつぶせのまま動かない音を見つけるが、そのまま亡くなってしまう。
その2年後、広島で行われる国際演劇祭で演出を任されることになった家福は、愛車の赤いサーブで広島へと向かう。
そこで出会った寡黙な専属ドライバー・みさき(三浦透子)との時間を過ごしていくうちに、心の奥に押し込めていた思いに気づかされていくーーー。

映画『ドライブ・マイ・カー』の感想・レビュー

ただのペンギン🐧の映画感想・レビュー&評価
総合評価
 (4.5)

それでも、生きていく


原作は、村上春樹の短編小説『女のいない男たち』より、「ドライブ・マイ・カー」という作品です。

原作は未読で、村上春樹の名前は聞いたことがありますが、彼の作品を読んだことはありません。
ですが、なんとなく、村上春樹の独特な世界観が表現されているんだろうなと感じる映画だったと思います。

「読んでないくせに何がわかるんだ!」と言われそうですが、それくらい言葉では表現できない空気感が漂う映画でした。
それも、映画にしては長い“3時間”という時間があっという間に過ぎ去ってしまうくらい、その空気感に吸い込まれるように観ていた気がします。

特に中盤の車内、初めて西島秀俊さん演じる家福と、三浦透子さん演じるみさきがお互いに過去の出来事を打ち明けるシーンでは、必死に見過ぎて、呼吸の仕方を忘れるほどでした。
口元の近くに持ってきた手の甲に、生暖かい息がかかるまで気づきませんでした。
それに気づいて、この呼吸音はこの映画のノイズになると思って必死に抑えようとしたのを覚えています。


そのシーンに見惚れるというか、飲み込まれたという感覚の方が正しいのかもしれません。
それくらい、役者たちの演技に引き込まれていたのが、自分の中ではとても印象的でした。

終盤の車内で起きた、家福と岡田将生さん演じる高槻との会話のシーンでも同じような感覚を覚えました。

その感覚を覚えたのが、長回しの撮影技法だったからとか、セリフ口調の喋り方だったからとか、役者たちの演技力が高かったからとかでは説明することができないような、何かこう理論的な話ではなくて、その映画が作り出す雰囲気としか言い表せないような凄みをそのシーンから感じました。

すごくフワッとした抽象的な表現でしかこの映画の魅力を伝えていないというのは自分でも重々承知なのですが、そんな曖昧な言葉でしか表現できない感覚を、内面に抱え込まされたような気がします。

人によっては、序盤のセクシャルなシーンとか、小説の朗読会のような棒読み口調の話し方が受け入れられない人もいるかと思います。
ただ、序盤のセックスをするシーンは、家福と音がそれらでしか繋がれなかったという意味だと思いますし、しつこいくらいにその場面を繰り返すことで、彼らがその繋がりに強く縋りついているように表現したかったのかなと思います。

時折流れる棒読み口調のシーンの意味の話になりますが、そもそも「ジャン・ルノワールの演劇メソッド」という、ざっくり言うと「感情を排除することで、テキストそのものに本来の意味を教えてもらう」という方法があって、このメソッドは、舞台の台本読みの際、家福が舞台出演者に執拗に徹底的に指示したメソッドです。
このメソッドを台本読み以外のシーンでも使うことで、台本読みでやったようなことを、視聴者にもやってもらう狙いがあったのかなと思います。

なので、棒読み口調に集中力を乱された人もいると思いますし、それによってより言葉にのめり込んだ人もいると思うので、この手法についての賛否は別れるのかなと思います。

映画の内容の話はこれくらいにして、この映画を観る前は「3時間って長くないか?」「レビュー観てもよくわからなかったっていう声が多いし、自己満映画なのか?」とか思っていましたが、実際に見てみると3時間はあっという間でしたし、ハッキリとした面白さは説明できないものの、すごく良い映画だったなと僕は感じました。