【映画感想・レビュー】映画『黒い司法 0%からの奇跡』黒人差別に立ち向かい、真実の正義を問う

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映画『黒い司法 0%からの奇跡』の作品情報

監督・脚本監督:デスティン・ダニエル・クレットン
脚本:デスティン・ダニエル・クレットン、アンドリュー・ランハム
出演者マイケル・B・ジョーダン
ジェイミー・フォックス
ブリー・ラーソン
ティム・ブレイク・ネルソン
オシェア・ジャクソン・Jr
ローダ・グリフィス
ロブ・モーガン
エリザベス・ベッカ
ロン・クリントン・スミス
ジャンルドラマ
製作年2019年
製作国アメリカ
上映時間2時間16分
補足情報原題:Just Mercy

映画『黒い司法 0%からの奇跡』のあらすじ・内容

舞台は1980年代のアメリカ・アラバマ州。
ハーバード・ロースクールを卒業したばかりの新人弁護士ブライアン・スティーブンソン(マイケル・B・ジョーダン)は、不当な有罪判決を受けた黒人たちの冤罪を晴らすために奔走していた。
ある日、地元の人権活動家エバ・アンスリーの協力を得て、世間を騒がせた殺人事件の被告人であり、死刑判決を受けたウォルター・マクミリアン(ジェイミー・フォックス)の弁護をすることになる。
裁判のための証拠・証言集めを始めたブライアンだったが、根強い黒人差別により調査は難航してしまう・・・。

映画『黒い司法 0%からの奇跡』の感想・レビュー・評価

ただのペンギン🐧の映画感想・レビュー&評価
総合評価
 (4.5)

黒人差別に立ち向かい、真実の“正義”を問う


新人弁護士のブライアンが、犯してもいない罪で死刑意宣告された黒人の被告人たちを救うために立ち上がった、実話を基にした物語。
約40年前のアメリカの話とはいえ、裁判と言う舞台を通して、白人至上主義や黒人差別へのリアルさをこれでもかというくらい味わえる作品。

死刑の証拠は重犯罪の白人犯罪者の証言のみで、物的証拠も他の目撃証言もないのに、ろくな裁判も行われずに死刑宣告されてしまう恐ろしさは言葉では言い表せられないくらいの衝撃だった。
劇中で「黒人は生まれつき有罪なんだ」といった言葉が出てくるが、きっとこれは誇張された表現でも比喩表現でもなく、そう感じてしまうくらいの不当な扱いをいままで受けてきたということの証明なのだろう。

罪を犯していないのに白人の一言で黒人は死刑にされ、その黒人を弁護する人も全部の服を脱がされる過剰な身体検査を受けさせられたり、パトカーで見張られたり、無実の黒人に有利な表現(白人に不利な表現)をする黒人は逮捕されたりと、黒人なら誰でもどんな扱いをしてもいいと言わんばかりの差別のオンパレード。

これの何が問題って、一般市民だけが黒人差別やっているわけじゃなくて、司法・裁判と言った「真実」や「正義」を司る組織全体が差別を行っているということ。
昔ほどではなくても現代でも黒人差別はあって、自分の記憶で新しいの差別と言えば、体操でメダルを取った黒人の女の子が、その子だけメダルを掛けてもらえなかった事件。
それをやったのが組織側の人間だったことで、大変驚いた記憶がある。

そんな感じで、黒人に対する根強い差別問題を、裁判と言う舞台を通して教えてくれる良作だと思います。
弁護士のブライアンを演じるマイケル・B・ジョーダンも、殺人犯にされた男を演じるジェイミー・フォックスの演技も素晴らしかったです。

原題は『Just Mercy』で、直訳すると「正当な慈悲」。
「黒人とか関係なく、公平に扱ってくれ!」という意味を、もっと深く込めた感じでしょうか。

邦題の『黒い司法 0%からの奇跡』は、“黒い”で黒人と嘘だらけの裁判というのを掛けているのだろうが、ユーモアがある皮肉ではなく嫌な感じの皮肉でちょっと受け付けられない。
“0%からの奇跡”も、そこが主題ではない感じがするし、感動物語っぽい感じで映画には合っていない気がする。
日本人にわかりやすいタイトルを付ける邦題の悪いところが出たという印象です。