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『テーラー 人生の仕立て屋』の作品情報
監督・脚本 | 監督:ソニア・リザ・ケンターマン 脚本:ソニア・リザ・ケンターマン |
ジャンル | ドラマ |
製作年 | 2020年 |
製作国 | ギリシャ、ドイツ、ベルギー |
上映時間 | 1時間41分 |
補足情報 | 原題:Raftis 原題:Tailor |
『テーラー 人生の仕立て屋』のあらすじ
ギリシャ・アテネで36年間、高級スーツの仕立て屋を厳格な父と営んできた寡黙なニコス(ディミトリ・イメロス)。
不況により店が差し押さえの危機、そしてそのショックで父親が倒れてしまう。
1人で店をどうにかしなければいけなくなったニコスは、店の前を通った本の移動販売をヒントに、移動式屋台の仕立て屋を始めたものの、時代遅れのオーダーメイドの高級スーツは全く売れずにいた。
いつものように移動式販売を行っていたニコスに、偶然ウェディングドレスのオファーが舞い込んでくる。
紳士服一筋でやってきたニコスは最初は断るが、思い切って初めてのオーダーメイドのドレス作りを始めるがーーー。
『テーラー 人生の仕立て屋』のキャスト
- ディミトリ・イメロス
- タミラ・クリエバ
- タナシス・パパヨルギウ
- スタシス・スタムラカトス
- ダフネ・ミチョプールー
『テーラー 人生の仕立て屋』の感想・評価
高級スーツの仕立て屋が初めてのウエディングドレス作りに挑戦!
ギリシャ・アテネで36年間、高級スーツの仕立て屋を厳格な父と営んできた寡黙なニコスが、不況により店が差し押さえの危機&父親が倒れたことをきっかけに始めたスーツの移動式販売から、初めてのウェディングドレスのオーダーメイド作りを始めたことで少しずつ人生が変わっていく話。
主人公のニコスが寡黙な男の設定なので、冒頭の数分間はセリフなしで仕立て屋の日常が始まるが、そこでの行動や仕草、振る舞いや表情でニコスがどういう人物なのかをハッキリと提示してくるのは静かでオシャレな演出。
それ以降も、ニコスの繊細で丁寧な所作が随所に出てくるのも、ニコスと言う一人の男の人間性が感じられていい。
借金の返済が滞ったことと、伝統を重んじる父親が倒れたことがきっかけとは家、36年間もオーダーメイドスーツ専門の仕立て屋として一筋にやってきたのに、それとは真逆の移動式販売を始めたり、オーダーメイドのウェディングドレスの受注、普段着用の女性ものの服を作ったりと、今まで培ってきた技術はそのままに、不器用ながらも新しいことを挑戦する姿は見習うものがあった。
ニコスの新しい挑戦に「こんなのは仕立て屋なんかじゃない」と否定的だった父親に、感情をあまり表に現さなかったニコスが、「これも仕立て屋の仕事だ」と少し怒った表情で自分の主張を訴える姿は、ニコスが自分の殻を破り始めたことが十分に伝わってくる。
そして、最初はニコスの行動に否定的だった父親も、ニコスの手作りのウエディングドレスを見て褒めるシーンは、これまでニコスが培ってきた技術と新しい発想が認められたことの証明なので思わずグッときた。
多くの人がいらなかったと否定的な不倫のシーンも、おそらく一度も結婚をしたこともないし女性と付き合ったことがなさそうなニコスの未熟な部分が出ていたので個人的には良かったです。
ラストシーンで、スーツの仕立て屋の時とは真逆なにこやかな表情をしていたことで、ニコスのこれから始まる新しい人生への期待と希望が垣間見える良い最後でした。
この映画を、時代の流れで落ちぶれてしまったオーダーメイドスーツ専門の仕立て屋が、新しいことに挑戦して未来を切り開いていく的な、“落ちぶれた人間のサクセスストーリー”や“心温まる展開”を期待して観てしまうと評価は下がると思いますが、“一人の男の成長の物語”として観ると評価は上がると思います。
そんな感じで、“どういう視点で観るか”によって人の評価は変わる映画だと感じました。
あとは、主人公の言葉や口数は少なめで、表情や映像で魅せる類の映画なので、それを楽しめるかによっても評価は別れるかも知れません。
主人公が仕立て屋と言う珍しさもあって、僕は好きな映画でした。