【死ねない理由】家族が原因で死にたくなったけど、家族が理由で死ななかった男の話

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まずは、「家族が原因で死にたくなった話」をしたいと思う。

僕は家族が原因でうつ病を発症し、自殺未遂経験が4回ほどある。

大学を卒業して、新卒で入った会社を9ヶ月でクビになり、一人暮らししていた家を出て、地元にある実家に帰った。

同じような時期に、両親は新しい家を買って住んでいたのだが、元々、精神が不安定でヒステリックがひどかった母は、引っ越しという大きな出来事+おそらく自分が仕事を辞めたことが原因で精神がおかしくなっていた。

毎日のように「死にたい」「私、何やってるんだろう」という2フレーズを繰り返す母。

その時も、その後も母は病院には行っていないが、あれはおそらくうつ病だったのだと思う。

「うつ病の症状の一つに希死念慮というものがあり、その症状が出ているときは一人にしてはいけない」といった言葉を見かけてから、母が死なないように細心の注意を払っていた。

夜の12時頃に母親の「死にたい」という言葉が聞こえなくなり、寝静まったか(自殺をしていないか)をこっそりと確認し、安心してから寝るのが日課だった。

仕事を探さなきゃいけないというプレッシャーに加え、そういった母の精神の不安定さが自分に重くのしかかっていた。

母がいなくても「死にたい」という幻聴が聞こえ、眠れない日が続く。

趣味も楽しめなくなり、履歴書の内容もまったく考えられない。

そうやって悩んでいる間に、母親が時間経過とともに精神が安定してきた、と思ったら今度は自分への人格否定が始まった。

「いままで何してたの?」

「大学でなにを勉強してきたの?」

「早く自立しなさい!!!」

「もう仕事探すのやめたの?」

「もう結婚して子供もいる人もいるのに…」

「●●ちゃん(母と同じ職場にいる同級生)は本当に良い子、あんな良い子は他にいない」

「お兄ちゃん、お給料上がったんだって!」

「情けない!!!」

言葉による暴力はもちろん、大声で怒鳴りつける、ドアをドンッと強く閉める、階段をダンダン鳴らす。といった毎日が続く。

父親は何も言わない。正確には、父親が仕事でいない時を狙ってそれをやってくるから気づきようもない。

一度、父親に母親にされたことを言ってみたが「気のせいじゃない?」「風の音じゃない?」と聞く耳を持たなかった。

そうだ、思い出した。

この人は「事なかれ主義」で、家族間のトラブルでさえ、自分自身が揉め事に巻き込まれるのを極端に嫌がる人間だった。

衣食住は提供されているが、頼れる人がこの家にはいない。家族がいるのに一人ぼっちになった気分だ。

その数年後に病院に行き、うつ病になっていたことが判明するーーー。

そんなこんなで、家族が原因で死にたくなって、実際に自殺を4度ほど試みたことがある。

次に、「家族が理由で死にたくなった話」をしたいと思う。

別に「家族と仲直りして救われた」みたいなハッピーな話は一切ないということだけは、最初に言っておきたい。

自殺を試みようと決心したある深夜

首を吊っている間に、ふと「自分が死んだら家族はどう思うだろうか?」と考えたことがある。

父親は、正直何を考えているかわからないし、深い会話もしたことがない。悲しむかはわからない。

兄も一緒だ、別に仲良くはないし、どう思うかは全く見当がつかない。

母に関しては容易に想像がつく、必ず「子供を自殺で失くした悲劇の母親」を演じることだろう。

昔から被害者意識が強く、悲劇のヒロインぶることが多々あった母親なので、自分が自殺した時にもお得意の「悲劇のヒロインムーブ」をかますことだろう。

「なんで自殺する前に相談してくれなかったの~~~~~」

「なんで自分は子供が悩んでいることに気が付かなかったんだろう~~~~~」

「子供の悩みに気がつかないなんて私はダメな母親だ~~~~~」

といったように、“自分の死”を利用することで、家族や周りからの同情を存分に享受することだろう。

小学1~2年生の頃から、たびたびヒステリーを起こす母親からサンドバッグのように感情のはけ口にされ、父親・兄・祖父・従妹の愚痴を聞かされ、家出をするたびに探す役割を任され、包丁を手首に当て死にたいと呟く母を慰めたり、メンタル介護をやらされ、自分の見栄や世間体のために就職するまで大企業・公務員という価値観を押し付け続け、仕事を辞めた自分に対して、兄と共に何年間も人格否定をし続けてきた母親。

そんな何度も殺したいと思った母親に、“自分の死”まで利用されてしまうのかと考えるだけで腸が煮えくり返る思いだった。

まるで格ゲーの死体蹴りのように、FPSの死体撃ちのように、死んでもなお自分のことを利用することが許せなかった。

何年も苦しんで苦しんで辿り着いた勇気ある決断を、周りから同情されるために利用されるのがたまらなく悔しかった。

だから自分は、死なないことを選んだ。

自分の尊厳を守るためにも、必死に生きることを選んだ。

これが、『家族が原因で死にたくなったけど、家族が理由で死ななかった男の話』