【感想・ネタバレ】映画『ドローン・オブ・ウォー』アメリカの現代の戦争の実態を描く【★3.5】

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『ドローン・オブ・ウォー』作品情報

監督・脚本監督:アンドリュー・ニコル
脚本:アンドリュー・ニコル
出演者イーサン・ホーク
ゾーイ・クラヴィッツ
ジャニュアリー・ジョーンズ
ブルース・グリーンウッド
ジェイク・アベル
ディラン・ケニン
クリステン・レイクス
ジャンルドラマ、戦争
製作年2014年
製作国アメリカ
上映時間1時間44分
補足情報原題:Good Kill

『ドローン・オブ・ウォー』あらすじ

F-16戦闘機のパイロットから無人戦闘機の操縦士・ドローンパイロットに転身したアメリカ空軍のトミー・イーガン少佐(イーサン・ホーク)。
戦地から遠く離れた安全なラスベガスの基地で、エアコンが効いたコンテナ内から無人機ドローンを遠隔操作し、クリック一つでミサイルを発射する爆撃は、まるでゲームのように現実感が欠落していた。
砂漠の空軍基地とラスベガス郊外にあるマイホームを往復するだけの生活は、トミーの心を徐々に蝕んでいた。
ある日、CIAの命令で対テロ特殊作戦に参加したトミーだったが、彼らから民間人すらも巻き込む非人道的な命令を出されたことで、爆撃命令への犯行を決意するーーー。

『ドローン・オブ・ウォー』の感想・レビュー

ただのペンギン🐧の映画感想・レビュー&評価
総合評価
 (3.5)

アメリカの現代の戦争の実態を描く


安全なアメリカから、無人戦闘機・ドローンを使って1万キロ以上も離れた場所にいるテロリストを爆撃する、ドローンパイロットとアメリカの現代の戦争の実態を描いた作品。

映画の絵的にはかなり地味で、毎日のように砂漠にある空軍基地に行って、エアコンが効いたコンテナ内でゲームのようにドローンを遠隔操作して空爆し、仕事が終わったら夜に賑わうラスベガスを横目に、ラスベガス郊外にあるマイホームを往復するだけ。
空爆も映像だけで銃声も爆発音も聞こえないし、人はバラバラになるが血の色もわからず、迫力も緊張感も現実感もまったくない。

観客からしたらすごく地味で退屈な映像に見えるかもしれないけど、それこそが主役のトミー・イーガン少佐が見ている景色なんだと実感する作りになっているのは良かった。

普通に考えたら、空軍に戻りたいと上官に訴えるトミーはバカみたいに思える。
だって、自ら戦場に行くこともないので死ぬ危険もなく、涼しい部屋で座ったまま任務が出来て、毎日家族に会えるなんて、一般的に考えたら幸せな生活にしか思えない。

トミーの場合は、過去にF-16戦闘機に乗っていた経験もあるから、あの時の景色・経験が忘れられない、現在のゲームをしているかのような任務とのギャップについていけないということもあるんだろうけど、それと同じくらい、画面越しだからこそ簡単に出来てしまう、人命を軽視した命令に耐えられなくなったんだろうなというのがよく伝わってきます。

新しい戦争の形だからこそ生まれてくる新しい問題を描いている点では、良い映画だったなと感じました。

あと、序盤で上官から訓練生への話で「“標的排除”、“局部攻撃”、“脅威の無力化”などの差し障りのない言葉で表現を濁すのはうんざりだ、勘違いするな、我々は人を殺している、日々、諸君の頭に叩き込む、これはゲームじゃない」といった言葉たちは、ドローンを使ったゲームのような現実感のない爆撃で、兵士たちの人を殺す感覚がマヒしないように、兵士たちの人としての感情や理性が失われないよう、強く訴えかけるシーンはとても良かったです。