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【映画感想・レビュー】映画『マイ・ブロークン・マリコ』親友・マリコの最後の願いを叶えるための旅が始まる

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映画『マイ・ブロークン・マリコ』の作品情報

監督・脚本監督:タナダユキ
脚本:向井康介、タナダユキ
出演者永野芽郁
奈緒(本田なお)
窪田正孝
尾美としのり
吉田羊
ジャンルドラマ
製作年2022年
製作国日本
上映時間1時間25分
補足情報漫画原作:平庫 ワカ『マイ・ブロークン・マリコ』

映画『マイ・ブロークン・マリコ』のあらすじ・内容

ブラック企業勤めのOL・シイノトモヨ(永野芽郁)は、テレビのニュースで親友・イカガワマリコ(奈緒)がマンションから転落死したことを知る。
いまからでもマリコのために何が自分に出来ることはないのかと考えた結果、幼い頃から彼女を虐待し続けた両親の元からマリコの遺骨を奪い返すことを思いつく。
刺し違える覚悟で包丁を持ってマリコの実家へ行き、父親との格闘の末、遺骨を奪ってベランダから飛び降りて逃走することに成功する。
そしてシノイは、マリコが学生時代に海へ行きたいと言っていたことを思い出し、その海へとマリコの遺骨を連れて行き散骨するため、1人バスへと乗り込むーーー。

映画『マイ・ブロークン・マリコ』の感想・レビュー

ただのペンギン🐧の映画感想・レビュー&評価
総合評価
 (4)

親友・マリコの最後の願いを叶えるための旅が始まる


作者・平庫ワカさんの同名漫画『マイ・ブロークン・マリコ』の実写化した作品。

幼い頃から両親に虐待され続け、彼氏からはDVを受けながら大人になったマリコが、マンションから飛び降り自殺したことをニュースで知ったブラック企業勤めのOL・シノイが、学生時代のマリコの夢だった「海へ行きたい」という願いを叶えるため、1人バスに乗ってその海を目指す話。

マンガを読まない状態で映画を観た後、マンガを読んだ経験も踏まえて感想を書きます。

シノイ役である永野芽郁さんは、この映画のようなやさぐれた感じのキャラを演じているところはあまり見たこともなかったですが、すごく良かったです。
漫画が原作なので、役が合う合わないの賛否はあるのは当然だと思いますし、顔立ちが可愛らしい分、マンガのシノイのような感じを出すのは難しかったと思いますが、演技力の高さで映画版・シノイって感じがして僕は良かったです。

マリコ役の奈緒さんに関しては、演技のクセが強かったです。
これは奈緒さんの演技力が問題とかではなく、演出の問題だったのかなって感じです。

映画ではマリコは明らかに他者かわかるようなメンヘラ感満載の見た目をしていて、正直、見た目からして明らかにヤバそうな雰囲気は漂っているので「この人ならいつか死んじゃうんだろうな」という印象を持ち、飛び降り自殺したことにあまり驚きはしません。
なので、シノイが「なんで自殺なんかしちゃったの」と言わんばかりの感情を爆発させたシーンを見ても、いまいち共感できなかったです。
むしろ、「この子はいつか自殺をしてしまう」という考えに及ばなかった(ように見えた)のはなぜだろうと疑問です。

一方で漫画のマリコは、映画のマリコとは違い育ちが良さそうな綺麗な見た目をしていて、外見からははっきりとしたメンヘラ感はあまり感じられません。
幼い頃から両親から虐待され、彼氏からはDVを受けたことで、心は傷付きながらもたまにシノイに弱音を吐露することで、なんとか平静を保っていた・・・はずに見えてました。
なので、漫画のシノイの場合は「なんで急に飛び降り自殺をしてしまったのか」「なぜ自分はその予兆に気がづいてあげられなかったのか」「なぜあの子助けられなかったのか」という葛藤が生まれているように思えます。

これらのことから、マリコの役はもう少し漫画に寄せた方が良かったかなと思います。

酷評してるように見えるかもしれませんが、演技やセリフなどを含めると色々考えさせられる作品だなと思いました。

終盤のシーンで、幻想のマリコがシノイに対して、「お願いシイちゃん、『お前が悪かったんだ』って言って…!そうじゃなきゃおかしいでしょ?割に合わないでしょ…?」と言う場面があります。
ここは、シノイが考える「マリコが言いそうな言葉」を言わせてる場面なのですが、シノイ自身に言い聞かせてる言葉なのかなと感じました。

マリコ目線だと、「もし、自分が悪くないんだとしたら、今までの両親や彼氏からの仕打ちはなんだったのか、自殺を選んだ自分の人生ってなんだったのだろうか、せめて『お前が悪かったんだ』と言ってもらえれば、自分が最後にした選択が間違ってなかったと証明できる、最後くらい自分の人生を肯定してくれ」と思っているのかも知れません。

一方で、シノイ目線だと「私(シノイ)に対して『お前が悪かったんだ』と言ってもらえれば、マリコが選んだ選択は間違ってなかったんだと証明できる」。
それと同時に、「結局マリコが死んでしまうのなら、今までマリコを守るために両親や彼氏に立ち向かい、心を擦り減らしながら頑張った自分が報われないじゃないか(割に合わないじゃないか)」という、“シノイ自身が薄々感じてるマリコへの心情”を、マリコの幻影に言わせてるんじゃないかなと思いました。

ちょっと話が散らかってきたので、話題を変えて好きなセリフを紹介します。
上記の書いたシーンのあとのセリフで、「ううんマリコ。あんたなにも悪くない。あんたの周りの奴らがこぞってあんたに自分の弱さを押し付けたんだよ…」というところです。
虐待とかDVとかいじめなどに言えることですが、“される側”が弱いのではなく、“する側”が自分の弱さを押し付けた、っていう表現がすごく的確だなと思いました。

あとは、窪田正孝演じるマキオの「大丈夫に見えますよ」というセリフとか、「もういない人に会うには、自分が生きているしかないんじゃないでしょうか…」とか、大切な人を亡くしたり、自分が死のうと考えた・実際に行動に移したような人に刺さる言葉など、この映画には“考えさせられる言葉”がところどころに出てきます。

正直、映画を1回観ただけの評価なら★3.5くらいですけど、この映画は、マンガを読んで心理描写を補完した後にまた映画を観たりと、マンガと映画の世界を行ったり来たりすることで見えてくるものがあるんだろうなということで、★4.0の評価になりました。