【感想・評価】映画『サクラメント 死の楽園』実在したカルト教団「人民寺院」による史上最大規模の集団自殺【★3.0】

【感想・評価】映画『サクラメント 死の楽園』実在したカルト教団「人民寺院」による史上最大規模の集団自殺【★3.0】

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『サクラメント 死の楽園』の作品情報

監督・脚本監督:タイ・ウェスト
脚本:タイ・ウェスト
ジャンルホラー、実話
製作年2013年
製作国アメリカ
上映時間1時間40分
補足情報原題:The Sacrament

『サクラメント 死の楽園』のあらすじ

ニューヨークを拠点としている国際的なメディア会社『VICE』は、「突撃潜入取材」という独自のスタイルの取材で大手メディアが報じないニュースを伝えていた。
ある日、VICE本社にフリーカメラマンのパトリック・カーター(ケンタッカー オードリー)が訪れていた。
話によると、彼のドラッグ中毒の妹がニューヨークを離れてミシシッピで更生サークルに参加、その後、パトリックの元へ妹から届いた一通の手紙の内容が彼の不安をかきたてた。
その内容とは、「神の説く生活をするために<共同体>の仲間と一生懸命やっている」というものだった。
その真意を確かめるため、そして、妹を探すため、VICE特派員のサム・ターナー(AJ・ボーウェン)とジェイク・ウィリアムズ(ジョー・スワンバーグ)とパトリックの3人は、“楽園”と呼ばれる「エデン・パリッシュ」へと足を踏み入れるのだがーーー。

『サクラメント 死の楽園』のキャスト

  • ジョー・スワンバーグ
  • AJ・ボーウェン
  • ケンタッカー オードリー
  • エイミー・サイメッツ
  • ケイト・リン・シャイル
  • ジーン・ジョーンズ

『サクラメント 死の楽園』の感想・評価

ただのペンギン🐧の映画感想・レビュー&評価
総合評価
 (3)

実在したカルト教団「人民寺院」による史上最大規模の集団自殺


1978年11月18日、南米・ガイアナ共和国で実際に起こった、実在したカルト教団「人民寺院」による914人の集団自殺を描いた作品。
2001年9月11日に『アメリカ同時多発テロ事件』が発生するまで、アメリカ合衆国民最多の被害者数を記録した事件。

全編にわたって「POV方式(Point Of View)」という主観視点のカメラワークで撮影されていて、登場人物の視線と映像の視点が一緒のため、まるで自分がその世界に入り込んだような臨場感と緊張感を味わうことができる。

こういった事件が世の中で起こったこと、そしてPOV方式により臨場感と緊張感を味わえたのは良かった。
ただ、全体的に早足で進み、実話とは違うところも多くあったので、ストーリーとしての完成度は低いように感じた。

実話では「ジョーンズタウン(映画ではエデン・パリッシュ)」では、信者への暴力事件やレイプ、脱退しようとした信者を監禁したり、外部からの侵略に備えて軍事訓練を行っていたりしたのだが、映画ではほとんどそのシーンが描かれていない(数名の銃を持った監視役がいる程度)。
なので、数名の住民が「ここは楽園じゃないのよ!本当のことを言うと殺されてしまう!」と訴えても説得力がなかった。

あとは、実話での集団自殺のきっかけと流れだけど、
まずは、アメリカ連邦議会が、レオ・ライアン下院議員と信者の家族、それにマスコミからなる視察団を教団に送る。
視察団が帰国希望者計16人をアメリカに連れて帰ることになる。
帰りの空港で事件発生、帰国希望者の1人が発砲、そして教団の信者たちが密林からトレーラーで現れ議員たちを襲撃し、レオ・ライアン下院議員を含む5人が死亡。
その後、ガイアナ国防軍が「ジョーンズタウン」に向かったが、到着した時にはすでに集団自殺(914名)が行われていた。
という流れだが、映画では信者の家族1人とマスコミ2人だけしか視察に行っていない。

たった3人が外部から来ただけなのに、創始者のジム・ジョーンズ(本作でのファーザー)が「外部の人間がこの町を壊した!」とか言って信者に自殺を強要するのが「いやいや、大げさじゃない?」って思ってしまった。

まあ、一応、映画では「彼らマスコミを国に返したらデマを流されて終わる!返さなくても視察団が来て終わる!どっちみち、この楽園は終わりだ!」って流れだったんだけど、それでもちょっと強引すぎる展開じゃないか・・・と思ってしまった。

さらに、映画では167人が死んだことになってたけど、実際は914人が死んでいて、亡くなった人の数も大幅に縮小しているため、悲惨さがあまり伝わってこない(167人でも十分多いんだけど)。

地味に気になったのは、最初と最後の方で流れた状況説明のテロップ。
実話を基にした映画で使われるテロップって、映画では描き切れなかった実話の部分を補足するために使われるものだと思ってるんだけど、そういう使われ方ではなくてただの映画の内容の補足説明になっちゃってるから、どこまでが実話?どこまでが映画の話?と混乱する。

実話の物語がベースなら、できるだけ内容を崩さないようにして、描き切れない部分はテロップで補足するのがわかりやすいと思うんだけど、実話と違う部分も多すぎて、結局この映画では何を伝えたかったのがよくわからなかった。

原題でもあり邦題でもある『The Sacrament(サクラメント)』は、地域の名前ではなく、「キリスト教において神の見えない恩寵を具体的に見える形で表すこと」という意味があるの。
「ジョーンズタウン(映画ではエデン・パリッシュ)」という“楽園”を、キリスト教用語である「サクラメント」と表現したんだと思います。

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