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【映画感想・レビュー】映画『紙の月』年下男性に貢ぐために銀行で巨額横領事件を起こした女性【★4.5】

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映画『紙の月』の作品情報

監督・脚本監督:吉田大八
脚本:早船歌江子
出演者宮沢りえ
池松壮亮
田辺誠一
近藤芳正
石橋蓮司
小林聡美
大島優子
平祐奈
佐々木勝彦
天光眞弓
中原ひとみ
伊勢志摩
ジャンルサスペンス、ドラマ
製作年2014年
製作国日本
上映時間2時間6分
補足情報原作小説:角田光代『紙の月』

映画『紙の月』のあらすじ・内容

バブル崩壊直後の1994年。「わかば銀行」で契約社員として働く梅澤梨花(宮沢りえ)は、子供には恵まれなかったが真面目で優しい夫(田辺誠一)と2人で穏やかな生活を送っていた。
そんなある日、外回りの営業の帰りにふと立ち寄った化粧品売り場で買い物をした際、現金が足りないことに気付く。
カードもなく支払いに困った梨花は、すぐに返すつもりで顧客からの預かり金の内の1万円に手を付ける。
銀行に戻る前、すぐに自分の銀行口座から1万円を降ろし袋に戻したが、それが全ての始まりだった。
そして、顧客先の孫で大学生の光太(池松壮亮)と出会ったことで、梨花の日常が破滅へと向かい始めるーーー。

映画『紙の月』の感想・レビュー・評価

ただのペンギン🐧の映画感想・レビュー&評価
総合評価
 (4.5)

年下男性に貢ぐために銀行で巨額横領事件を起こした女性


パートとして銀行の営業職をしている女性が、年下の男性と出会ったことで、その男に貢ぐために巨額の横領事件を引き起こしてしまう話。
原作は角田光代さんの同名小説『紙の月』。
3つの銀行(滋賀銀行、足利銀行、三和銀行)で起こった巨額横領事件が元ネタと言われていて、どの事件も女性が男性に貢いでいるケースだった。

宮沢りえが演じた梨花が、すぐ返すつもりで手を付けた顧客の預かり金の1万円から始まり、年下の男性と出会ったことで、さらに理性のタガが外れてどんどん欲望に飲み込まれていく感じがもう恐怖でしかなかった。

年下男性との幸せな生活を描くシーンでは、不倫じゃなければ、お金を横領してなければ、ただの年の差のピュアな恋愛に見えるんだけど、これは偽りの幸せということが梨花にも視聴者にもわかっていて、この先は破滅しか待っていないというのがわかっている分、ヘタなホラー映画よりもよっぽど怖い。
その時だけエモい感じの音楽を流して良い雰囲気を醸し出すのも、その後の横領シーンとの落差でどっと疲れる。

ベテランの銀行員を演じる小林聡美の存在感がすごすぎて、この人の演技になると一気にシリアスな雰囲気になる。
さらに、一見お局っぽい冷たい雰囲気だけど、25年間銀行員をやってきた真面目さや、梨花が横領したとわかった時点でこれ以上罪を重ねないようにしたり、完全にバレた後も解決の道を探ろうとしてあげてる優しさがあったことで、より梨花の異質さが際立つのも良かった。
「責任感なんて芽生えません、どんどん緩んでいくだけです」というセリフも、25年間真面目にやってきたからこその言葉だから重みを感じる。

物語の間に梨花の子供時代のパートを挟むことで、お金を使うことで誰かに喜んでもらえたという原体験が悪い方向に作用したこと、子供の頃に親のお金を盗んだという経験をしてしまったことで、梨花の中で他人のお金を盗むという選択肢が生まれてしまったことが提示されているのも物語に深みが出ていた面白かった。

ただの気難しいスケベな頑固親父に見えた人も、実際は真逆の人物像と言うことも、「人は見た目ではわからない」と感じられて良かった。

もう少し描写が丁寧なら良かったなと思うのは、年下男性と恋愛を始めるところが唐突だったことと、夫との関係がもう少し冷え切っているというか、梨花が家庭で疎外感や孤独を感じるシーンがあったら良かった。
まぁ、映画の尺の都合で全部を描写するのは難しいんだろうな。

自分は銀行員じゃないけど、銀行員の人やお金を扱う人、人(特に異性)にお金を貢ぐことで幸せを感じるような人などが、人生の教材として一度は観た方がいいんじゃないかと思えるような作品でした。