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【映画感想・レビュー】映画『ファーザー』徐々に自分がなくなっていく恐怖と戸惑いの追体験

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映画『ファーザー』の作品情報

監督フローリアン・ゼレール
出演者オリヴィア・コールマン
アンソニー・ホプキンス
ルーファス・シーウェル
イモージェン・プーツ
マーク・ゲイティス
オリヴィア・ウィリアムズ
ジャンルドラマ
製作年2020年
製作国イギリス
上映時間1時間37分
補足情報原題:The Father

映画『ファーザー』のあらすじ・内容

イギリス・ロンドンで一人暮らしを送る81歳のアンソニー(アンソニー・ホプキンス)は、自分一人でなんでもできると、娘のアン(オリヴィア・コールマン)が手配した介護人を拒否するほどの頑固者だ。
ある日、アンから「恋人とパリへ引っ越すからもう面倒を見られない」と言われひどくショックを受ける。
翌日、いつものように食事の準備をしていると玄関のドアが開く音がする。
「アン?」と娘の名前を呼ぶも返事はない。
おそるおそるリビングへと向かうと、そこにはポールと名乗る謎の男がイスに座っていた。
「私の家で何をやっている?」そう尋ねるアンソニーだったが、その男から返ってきたのは「ここに住んでる」という言葉だったーーー。

映画『ファーザー』の感想・レビュー・評価

ただのペンギン🐧の映画感想・レビュー&評価
総合評価
 (4.5)

徐々に自分がなくなっていく恐怖と戸惑いの追体験


映画のジャケットに描かれた、穏やかな笑顔で見つめ合う高齢の男性と女性を見て「親子?祖父と孫?のヒューマンドラマなのかな?」と思って見始めたが、蓋を開けてみたらとんでもない映画だった。

主人公はおじいちゃんのアンソニー(アンソニー・ホプキンス)で、彼視点で映画は進む。
序盤は、家で親子が会話するシーンから始まるが、物語が進むにつれて、急に知らない男が家に現れたり、娘と名乗る人物が別人だったり、かと思えばいつもの娘が戻ってきたりと不思議な展開が続く。

「これって、ボケた老人と彼を騙そうとする悪いやつらの話なのか?」
「サスペンス映画なのか?」
と怪しげな人物に疑いの目を向けながら映画を観ているとあることに気がつく。

「このおじいちゃん、もしかして認知症なのか…?」と。

そこに気づいてしまったら最後。
自分の見えている人物も起こった出来事も脳に刻まれた記憶も、その何もかもが真実なのか嘘なのかがわからなくなってくる恐怖を体験することだろう。。

認知症を患っている側の視点で撮られた今作は、主人公・アンソニーの認知症を追体験させるような構成になっていて、見ている視聴者側が完全に混乱するように上手に作られている(最初は認知症だって気づけなかった)

アンソニー・ホプキンスが演じた役名が同じ名前の「アンソニー」なので、まるで彼自身が認知症になったかのような設定なことも、より映画のリアリティが増してくる要因だろう。
この映画が撮られた時期の彼は83歳頃なので、年齢も相まって認知症を想像させるのもまたリアルだった。

見終わった後は、映画を観たという感覚よりも、ドキュメンタリーのような、アンソニー・ホプキンスという役者の生涯をみているかのような気持ちになった。

“老いる”ということの負の一面、認知症とはなんなのか、そして、認知症の人を支える家族の苦悩を極々ほんのわずかでも知ることができて良かった。