【感想・ネタバレ】映画『ザリガニの鳴くところ』湿地で孤独に暮らす“カイア”という女性の生き様を描く【★4.0】

この記事には広告を含む場合があります。

記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

『ザリガニの鳴くところ』作品情報

監督・脚本監督:オリビア・ニューマン
脚本:ルーシー・アリバー
出演者デイジー・エドガー・ジョーンズ
テイラー・ジョン・スミス
ハリス・ディキンソン
マイケル・ハイアット
スターリング・メイサー・Jr
デヴィッド・ストラザーン
ギャレット・ディラハント
ジャンルミステリ―
製作年2022年
製作国アメリカ
上映時間2時間5分
補足情報原題:Where the Crawdads Sing

『ザリガニの鳴くところ』あらすじ

1969年、アメリカ・ノースカロライナ州の湿地帯で、町の人気者の青年・チェイス(ハリス・ディキンソン)が死体となって発見される。
容疑者として名前が挙がったのが、チェイスのかつての恋人で、町の人々から“湿地の娘”と蔑まれているカイア(デイジー・エドガー・ジョーンズ)だった。
幼少期から人里離れた湿地帯でずっと暮らしてきた彼女は、暴力的な父親から逃げるように母親、5人の家族が次々と出て行き、残った父親が他界した後は、食用のムール貝を取っては雑貨店に持ち込み、それを生活必需品に替えながらなんとか一人で生き抜いてきた。
そんな彼女の孤独な生活に入り込んできたのが、心優しき青年・テイト(テイラー・ジョン・スミス)。
そんな彼との出会いから、徐々に彼女の人生が変わり始めていくーーー。

『ザリガニの鳴くところ』感想・ネタバレ・評価

ただのペンギン🐧の映画感想・レビュー&評価
総合評価
 (4)

湿地で孤独に暮らす“カイア”という女性の生き様を描く


殺人事件が起こり裁判パートもあるけれど、ミステリー要素は薄めでどちらかと言えばロマンスやヒューマンドラマ要素が多めで、子供の頃に両親に捨てられた一人の女性の生き様を描いたような作品。

湿地がメインの舞台だけど沼地のようなジメジメとした薄暗さはなく、光が差す感じや動物や植物などの生き物たちの自然の美しさ、それらと共存しながらたくましくも美しく生きる女性の強さがそこにはあった。
映画の雰囲気からミステリーや謎解きを期待してしまうと拍子抜けするだろうけど、それでも、静かな語り口や映像の美しさ、孤独な女性が生きる姿に引き込まれる。

不満があるとすれば、10歳にも満たない女の子が貝だけ取って(?)生きていたり、湿地に住んでいるというだけで普通の大人しい女の子があそこまで敬遠されているのはちょっと現実味がなかった。

家を出て行った家族たちも父親以外は変な人物だったってわけでもないし、残された女の子も常識がないとか暴力的だったとかでもないから、町の人か誰か大人が積極的に手を差し伸べないことも、“湿地の娘(マーシュ・ガール)”なんて蔑称で呼ばれるのはあまり納得がいかない。

時代が1969年ということで、その頃にはまだ幼い子を保護するという概念が薄かったのかな?と考えたけど、昔の時代とは言え幼い女の子が一人で生きていたら、さすがに周りの大人なり福祉課なりが保護しに来るんじゃないか?
一応、福祉課が彼女を保護しようとしたけど、その頃には20歳前後にはなっていそうだし遅すぎるよ。

あと、小さな町だから湿地で一人で暮らすような変人は気味が悪かったのだろうかと考えたけど、閉鎖的な過疎地が舞台ならまだしも、ある程度は人も店もある町ならあんなに距離を置くものなのか?

そこら辺はちょっと気になったけど、原作小説なら細かいところは納得するように描かれているのかな…。

とにかく、ミステリーとしてはそんなに楽しめなかったけど、観て良かったなと思える映画でした。